I-Method

6-18 最終処分4

最終処分のキャッシュフロー計算例

  指 標 数式 4月 5月 6月 7月
a 残存容量(m3)   500,000 491,667 485,363 482,252
b 埋立物比重   0.7 0.7 0.7 0.7
c 圧密率   1.5 1.5 1.5 1.5
d 覆土率(0.5m/2.5m)   0.2 0.2 0.2 0.2
e 期首残存受入能力
(m3)
a*c*(1-d) 600,000 590,000 582,436 578,702
f 計画埋立年数   5.0 6.5 13.0 20.0
g 計画受入能力
(m3・月)
e/f/12 10,000 7,564 3,734 2,411
h ダンプ台数
(15m3/台・日)
g/15/25 26.7 20.2 10.0 6.4
i 料金(千円/トン)   30 30 30 30
j 管理費原価(千円)   20,000 20,000 20,000 20,000
k 借入金残高   5,000,000 4,916,667 4,853,632 4,822,519
l 借入金利率 長プラ
+1.0%
2.7% 2.7% 2.7% 2.7%
m 借入金利息 k*l/12 11,250 11,063 10,921 10,851
n 計画売上高 g*b*i 210,000 158,846 78,405 50,636
o 元金返済額
(均等返済)
k/f/12 83,333 63,034 31,113 20,094
p 計画営業利益 n-j 190,000 138,846 58,405 30,636
元利返済後キャッシュフロー n-j-m-o 95,417 64,749 16,371 -308

 最終処分場の市場規模は5年で半減ペースで縮小しているが、それでもなお、最終処分場は売手市場であり、供給サイドが市場を支配している。最終処分場は、住民や自治体との搬入台数協定、借入金返済計画などの制約条件の範囲内ではあるが、ある程度自由に埋め立てのペースを決定できる。これによって、処分場の資金計画(キャッシュフロー計画)が変ってくる。埋め立てのペースを早めれば、借入金を早く償還することができ、キャッシュフローは増えるが、処分場は短期で閉鎖されてしまう。ペースを遅くすれば処分場を延命できるが、キャッシュフローは悪化する。
 上記の計算例は月ごとに埋立計画年数(=借入金償還年数)を変えている。計画年数5年(毎日27台搬入)では、借入金を毎月約8千万円返済してなお、9千万円のキャッシュが残る。計画年数を13年(毎日10台搬入)に変更すると、借入金返済は3千万円、フリーキャッシュフローは1千6百万円となっている。計画年数20年では、キャッシュ不足が生じている。

ジレンマの解決

 最終処分場単独事業では、埋立計画年数を延長するとキャッシュフローが悪化するというジレンマを解決することができない。このジレンマを解決するには、最終処分場と中間処分場やリサイクル施設を組み合わせた総合処分場へとビジネスモデルを転換しなければならない。
 単純計算で、最終処分・中間処理比率を1:1にすることができれば、借入金返済計画をそのままにして、埋立計画年数だけを2倍にすることができる。これにより、フリーキャッシュフローは飛躍的に増大する。
 さらに、中間処理によって廃棄物を縮減してから最終処分することによって、埋立物の平均比重を大きくすることで、最終処分場の延命をすることも可能になる。
 中間処分と最終処分場を組み合わせた総合処分場では、最終処分・中間処理比率が非常に重要な経営指標となる。ここではその試算はしないが、中間処理の比率が高いほど、最終処分場の延命効果が高いことは容易に想像できるだろうと思う。
 最終処分場の寿命を計測する指標として、投資回収時(=借入金返済時)残存容量を考えることができる。上記の計算例では、完済時残存容量をゼロと仮定しているが、これでは最終処分場を経営するうまみがない。完済時残存容量を5割程度残しておくことが理想だと言える。完済後の最終処分場の利益率はきわめて高く、経常利益率40%ということもめずらしくない。完済後に残存容量を残しておければ、まさに悠々自適の経営をすることができる。

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