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法改正要綱6−1


【要綱】大臣認定制度に係る監督規定等の整備

一 環境大臣の認定を受けた者が認定に係る事項を変更する場合の認定及び届出に係る規定を整備すること。

【解説】


 環境大臣の認定については、再生利用、広域的処理、無害化処理の3つがあり、いずれの場合も、自治体ごとの収集運搬業、処分業の許可が不要となる。一般廃棄物の認定と産業廃棄物の認定がある。
 もっとも重要な広域的処理認定については、処理方法の変更手続きの合理化、車両表示の合理化、広域的処理認定報告書の合理化の3つが、省令改正素案に盛り込まれている。

 広域的処理認定制度は、平成16年4月23日の第1号から平成22年7月23日の第189号まで、年平均30件余りの認定となっている。約10万社あるとされる処理業者に対しては、きわめて狭き門である。

 多くの自治体が処理業許可申請を機械的に受け付けずに、法令の根拠のない事前協議制度を前置していることについて、環境省は行政手続法違反であり、処理施設不足の一因になっていると批判しているが、環境省が自ら事務を担当する広域認定制度についても厳しい事前審査があり、申請を機械的に受け付けているわけではない。しかも環境省の担当者が少ないという理由で、受付まで何年も待たされているというのが実情である。また、この担当者も、環境省のプロパーというよりは、自治体から環境省への出向者(自治体の実務経験者)によっている場合が多いようである。

 今回の法改正は、他の条文については、自治体の事務量を増やす方向での改正がほとんどであるが、環境大臣認定については、環境省の事務量を減らす方向での規制緩和も含まれている。しかし、この改正によって環境大臣認定制度の事務がどれだけ円滑に行われるようになるかは疑問である。この制度の最大の問題は環境省のマンパワーの不足だからである。

 広域認定制度を普及させるには、地方環境事務所(全国7か所)に権限を委譲する、一定数以上の自治体の許可を取得した業者に大臣認定申請を選択できる権利を与える(環境大臣に申請を受け付ける義務を課す)、大臣認定業者の本支店又は処理施設が所在する自治体に報告徴収権限、立入調査権限、改善命令などの行政処分権限を与えるなど、環境省のマンパワー不足を根本的に解消する措置が必要である。

【改正条文】

(一般廃棄物の再生利用に係る特例)
第九条の八
6 第一項の認定を受けた者は、第二項第二号に掲げる事項の変更(当該認定に係る再生利用の用に供する施設以外の再生利用の用に供する施設(当該認定に係る再生利用の内容以外の内容の再生利用を行わないものに限る。)の設置を含む。)をしようとするときは、環境省令で定めるところにより、環境大臣の認定を受けなければならない。ただし、その変更が環境省令で定める軽微な変更であるときは、この限りでない。
8 第一項の認定を受けた者は、第二項第一号に掲げる事項の変更又は第六項ただし書の環境省令で定める軽微な変更をしたときは、環境省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を環境大臣に届け出なければならない。

(一般廃棄物の広域的処理に係る特例)
第九条の九
6 第一項の認定を受けた者は、当該認定に係る処理の内容又は第二項第二号に掲げる事項の変更をしようとするときは、環境省令で定めるところにより、環境大臣の認定を受けなければならない。ただし、その変更が環境省令で定める軽微な変更であるときは、この限りでない。
8 第一項の認定を受けた者は、第二項第一号に掲げる事項の変更又は第六項ただし書の環境省令で定める軽微な変更をしたときは、環境省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を環境大臣に届け出なければならない。

(一般廃棄物の無害化処理に係る特例)
第九条の十
6 第一項の認定を受けた者は、第二項第一号に掲げる事項その他環境省令で定める事項の変更をしたときは、環境省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を環境大臣に届け出なければならない。

(産業廃棄物の再生利用に係る特例)
第十五条の四の二
3 第九条の八第三項の規定は第一項の認定について、同条第四項から第六項までの規定は第一項の認定を受けた者について、同条第七項の規定はこの項において読み替えて準用する同条第六項の変更の認定について、同条第八項の規定は第一項の認定を受けた者について、同条第九項の規定は第一項の認定について、同条第十項の規定は第一項の認定及びこの項において読み替えて準用する同条第六項の変更の認定について準用する。この場合において、同条第四項中「第七条第一項若しくは第六項又は第八条第一項」とあるのは「第十四条第一項若しくは第六項又は第十五条第一項」と、「一般廃棄物の」とあるのは「産業廃棄物の」と、「一般廃棄物処理施設」とあるのは「産業廃棄物処理施設」と、同条第五項中「第七条第十三項、第十五項及び第十六項」とあるのは「第十四条第十二項、第十五項及び第十七項」と、「一般廃棄物収集運搬業者」とあるのは「産業廃棄物収集運搬業者」と、「一般廃棄物処分業者」とあるのは「産業廃棄物処分業者」と、「一般廃棄物処理施設」とあるのは「産業廃棄物処理施設」と、同条第六項中「第二項第二号」とあるのは「第十五条の四の二第二項第二号」と、同条第七項中「第一項第三号」とあるのは「第十五条の四の二第一項第三号」と読み替えるほか、これらの規定に関し必要な技術的読替えは、政令で定める。

(産業廃棄物の広域的処理に係る特例)
第十五条の四の三
3 第九条の九第三項の規定は第一項の認定について、同条第四項及び第五項の規定は第一項の認定を受けた者(その委託を受けて当該認定に係る処理を業として行う者(前項第二号に規定する者である者に限る。)を含む。)について、同条第六項の規定は第一項の認定を受けた者について、同条第七項の規定はこの項において読み替えて準用する同条第六項の変更の認定について、同条第八項及び第九項の規定は第一項の認定を受けた者について、同条第十項の規定は第一項の認定について、同条第十一項の規定は第一項の認定及びこの項において読み替えて準用する同条第六項の変更の認定について準用する。この場合において、同条第四項中「第七条第一項又は第六項」とあるのは「第十四条第一項若しくは第六項又は第十四条の四第一項若しくは第六項」と、「一般廃棄物」とあるのは「産業廃棄物又は特別管理産業廃棄物」と、同条第五項中「第七条第十三項、第十五項及び第十六項、第七条の五」とあるのは「第十四条第十二項、第十五項及び第十七項並びに第十四条の三の三又は第十四条の四第十二項、第十五項、第十七項及び第十八項並びに第十四条の七」と、「一般廃棄物収集運搬業者又は一般廃棄物処分業者」とあるのは「産業廃棄物収集運搬業者若しくは産業廃棄物処分業者又は特別管理産業廃棄物収集運搬業者若しくは特別管理産業廃棄物処分業者」と、同条第六項中「第二項第二号」とあるのは「第十五条の四の三第二項第二号」と読み替えるほか、これらの規定に関し必要な技術的読替えは、政令で定める。

(産業廃棄物の無害化処理に係る特例)
第十五条の四の四
3 第八条の四の規定は第一項の認定を受けた者について、第九条の十第三項の規定は第一項の認定について、同条第四項から第六項までの規定は第一項の認定を受けた者について、同条第七項及び第九項並びに第十五条第三項本文及び第四項から第六項までの規定は第一項の認定について準用する。この場合において、第八条の四中「当該許可に係る一般廃棄物処理施設」とあるのは「当該認定に係る施設」と、「当該一般廃棄物処理施設」とあるのは「当該施設」と、第九条の十第四項中「第七条第一項若しくは第六項又は第八条第一項」とあるのは「第十四条第一項若しくは第六項若しくは第十四条の四第一項若しくは第六項又は第十五条第一項」と、「一般廃棄物の」とあるのは「産業廃棄物若しくは特別管理産業廃棄物の」と、「一般廃棄物処理施設」とあるのは「産業廃棄物処理施設」と、同条第五項中「第七条第十三項、第十五項及び第十六項」とあるのは「第十四条第十二項、第十五項及び第十七項又は第十四条の四第十二項、第十五項及び第十八項」と、「一般廃棄物収集運搬業者又は一般廃棄物処分業者」とあるのは「産業廃棄物収集運搬業者若しくは産業廃棄物処分業者又は特別管理産業廃棄物収集運搬業者若しくは特別管理産業廃棄物処分業者」と、同条第六項中「第二項第一号」とあるのは「第十五条の四の四第二項第一号」と、第十五条第三項本文中「前項」とあるのは「第十五条の四の四第二項」と、同条第四項中「都道府県知事は、産業廃棄物処理施設(政令で定めるものに限る。)について」とあるのは「環境大臣は、」と、「第二項第一号」とあるのは「第十五条の四の四第二項第一号」と、「書類(同項ただし書に規定する場合にあつては、第二項の申請書)」とあるのは「書類」と、同条第五項中「都道府県知事」とあるのは「環境大臣」と、「市町村の長」とあり、及び「市町村長」とあるのは「都道府県及び市町村の長」と、同条第六項中「当該都道府県知事」とあるのは「環境大臣」と読み替えるほか、これらの規定に関し必要な技術的読替えは、政令で定める。

【政令素案】

広域処理認定制度の合理化(法第9条の9及び第15条の4の3関係)
(1)変更手続きの合理化(現行規則第6条の21第4号関係)
 広域的処理認定に係る処理に伴い生ずる廃棄物(再生品を除く)の処理方法の変更については、変更認定が必要とされているところ、届出で足りることとする。

(2)車両表示の合理化等(現行規則第6条の19及び第7条の2の2第4項関係)
 広域的処理認定業者の委託を受けて当該認定に係る収集運搬を行う者の使用する運搬車又は運搬船については、以下@の事項を表示すれば足りることとする。また、当該者が収集運搬を行う際は、Aの書面を備え付けておくこととする。
@車両表示事項
 ・当該認定にかかる廃棄物の収集運搬の用に供する運搬施設である旨
 ・認定番号
 ・当該認定に係る廃棄物の収集運搬を行う者の氏名又は名称
A書面備付け事項
 ・当該認定に係る廃棄物の処分(再生を含む。)を行う場所の所在地を証する書類
 ・広域的処理認定証の写し

(3)広域的処理認定報告書の合理化(現行規則第6条の24及び第12条の12の13関係)
 認定基準を満たす処理の実施についてフォローアップを行えるよう、規則第6条の24に基づく報告書内容に次の事項を追加することとする。
 ・当該申請に係る廃棄物の減量その他適正な処理を確保するために行った措置

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棄物処理法の改正公布(5月19日)


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