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法改正要綱1


【要綱】土地所有者等の通報義務

 土地の所有者又は占有者は、その所有、又は占有若しくは管理する土地において、この法律の規定に違反して処理された廃棄物と認められるものを発見したときは、速やかに、都道府県知事又は市町村長に通報するよう努めなければならないこととすること。

【改正条文】

(清潔の保持等)

第五条
2 土地の所有者又は占有者は、その所有し、又は占有し、若しくは管理する土地において、他の者によつて不適正に処理された廃棄物と認められるものを発見したときは、速やかに、その旨を都道府県知事又は市町村長に通報するように努めなければならない。

【解説】

 土地所有者又は占有者の不法投棄通報義務について新たな規定を設けたものであるが、努力義務(訓示規定)であり、罰則はない。
 土地所有者等については、報告の徴収(18条)が改正前法でも義務付けられていた。行政から報告を求めれた場合には、回答しなければ罰則の適用(30条の6 30万円以下の罰金)がある。
 今回の改正は行政からの報告徴収に加えて、土地所有者等の側からの積極的な通報義務を定めたものである。

 土地所有者等に措置命令を発することができるかについては、措置命令の対象者に土地所有者を含めるとの明文の規定はないが、土地所有者等が不法投棄等の不法行為を行った者と賃貸借契約又は使用貸借契約を締結し、あるいは土地の対価を得、もしくは不法行為を看過していた場合には、当該処分等をすることを助けた者(19条の5の5)に該当し、措置命令を発することができると解される。

 土地所有者の義務は、登記上の所有名義を有さない所有者(未登記所有者、時効取得者、相続人など)にも及ぶと解される。ただし、措置命令は不法行為者の相続人や承継人には発せられないと解されるので、当該処分等をすることを助けた者の措置義務は、土地所有者の相続人には及ばないと解されている。
 ただし、相続が発生しているために、現在の土地所有者には措置命令を発せられない場合に、行政庁が公費で不法投棄現場を撤去したときには、民法の事務管理(民法697条)の規定を適用し、相続人に事務管理費用償還請求(民法702条)をすることができると解される。

 今後の課題としては、土地所有者等の通報義務に罰則を設けること、土地所有者(相続人を含む)又は占有者(承継人を含む)を措置命令の対象とする明文の規定を設けることが必要である。なお、土壌汚染対策法では、土地所有者又は開発者の届出義務、措置義務が規定されている。ただし、土壌汚染対策法にも、廃棄物処理法の許可施設ではない不法投棄現場が特定施設にならないという問題がある。

【関連条文】

(報告の徴収)

第十八条 都道府県知事又は市町村長は、この法律の施行に必要な限度において、事業者、一般廃棄物若しくは産業廃棄物又はこれらであることの疑いのある物の収集、運搬又は処分を業とする者、一般廃棄物処理施設の設置者(市町村が第六条の二第一項の規定により一般廃棄物を処分するために設置した一般廃棄物処理施設にあつては、管理者を含む。)又は産業廃棄物処理施設の設置者、情報処理センター、第十五条の十七第一項の政令で定める土地の所有者若しくは占有者又は指定区域内において土地の形質の変更を行い、若しくは行つた者その他の関係者に対し、廃棄物若しくは廃棄物であることの疑いのある物の保管、収集、運搬若しくは処分、一般廃棄物処理施設若しくは産業廃棄物処理施設の構造若しくは維持管理又は同項の政令で定める土地の状況若しくは指定区域内における土地の形質の変更に関し、必要な報告を求めることができる。
(措置命令)
第十九条の五
五 当該保管、収集、運搬若しくは処分を行つた者若しくは前三号に掲げる者に対して当該保管、収集、運搬若しくは処分若しくは前三号に規定する規定に違反する行為(以下「当該処分等」という。)をすることを要求し、依頼し、若しくは唆し、又はこれらの者が当該処分等をすることを助けた者があるときは、その者

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棄物処理法の改正公布(5月19日)


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