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法改正要綱8


【要綱】産業廃棄物処理業の許可の有効期間に係る特例

 政令で定めることとしている産業廃棄物処理業の許可の有効期間について、許可を受けた者の事業の実施能力及び実績を勘案したものとすることができることとすること。

【解説】

 規制強化が目立つ今回の改正の中で、規制緩和の目玉の一つである。
 政令素案によると、優良業者の許可期限は7年(現行5年)とされた。
 政令素案の優良性条件の概要は以下の(1)〜(6)とおりである。
 この内容はほぼ、環境省が基準を定めた優良性評価制度に準拠したものであり、同制度よって自治体から優良性認定を受け、電子マニフェストに加入していれば合格するはずである。
 しかし、実際に自治体から優良性認定を受けた業者の公開情報を見ると、公開内容の省略や情報の未更新が半数以上の業者に認められる。(優良業者検証ページへリンク)
 とくに財務諸表を決算公告様式(売上高のない利益計算書)にしている企業が多いようであるが、これでは財務諸表を公開しているとは言えず、環境省基準の厳密な運用を求めたいところである。
 また、情報更新頻度を守っていない業者もかなり多く、許可期限の差別化といった顕著な優遇措置を実施するには、自治体による制度運用の信頼性を高める必要がある。

 環境省が設計したの優良性評価制度は、情報公開性の担保だけを求めており、公開された情報の中身までは踏み込んでいない。これは優良性に対する行政の介入の仕方として節度ある考え方である。
 これに対して、東京都や岩手県では、情報の中身に踏み込んだ点数評価、あるいはランキング評価を行っている。
 ところが、点数制があだとなって、公開情報に欠落があっても看過されることになってしまっている。したがって、東京都と岩手県の制度による優良性認定業者は、環境省が求める(すなわち優遇措置の対象となる)優良性の要件を一律には満たしていない結果になっている。
 ただし、これらの制度には、優れた点もあるので、環境省の制度を併用すればよいのではないかと考えられる。大阪府、徳島県では独自制度との併用制を採用しており、公開情報に極端に大きな穴はあいていない。

 環境省の優良性評価制度は、情報の中身の評価に踏み込んだ制度設計とはなっていないので、この部分は民間評価機関に期待されていると解すべきである。
 当ホームページが普及を図っているiMethodは、まさに優良性評価制度が民間に残してくれている情報の中身を評価するメソッドである。
 その意味で、優良性評価制度と関連付けた許可有効期間の特例措置は、iMethodの有用性をも大きく後押ししてくれるものである。
 
優良性条件の概要
(1)過去5年間、行政処分を受けていないこと
(2)5年以上の処理業の実績
(3)ISO14001、エコアクション21等の認証
(4)インターネットによる情報公開
 ・ 会社情報(氏名又は名称、住所及び代表者の氏名等)
 ・ 許可内容
 ・ 施設及び処理の状況
 (a) 過去1年間の廃棄物の種類ごとの受入量
 (b) 過去1年間の処分量(減量を行った量等を含む。)
 (c) 過去1年間の処分委託先
 (d) 過去1年間の売却先
 ・ 低公害車の導入状況
 ・ 直前3年間分の財務諸表
 ・ 料金表
 ・ 組織体制
 ・ 事業場の公開
(5)電子マニフェスト
(6)財務体質
 (a) 過去3カ年の平均自己資本比率が10%以上
 (b) キャッシュフロー(過去3カ年の経常損益と減価償却費の合計額が0円以上)
 (c) 国税等の未納がないこと

【改正条文】

(産業廃棄物処理業)
第十四条 産業廃棄物(特別管理産業廃棄物を除く。以下この条から第十四条の三の三まで、第十五条の四の二、第十五条の四の三第三項及び第十五条の四の四第三項において同じ。)の収集又は運搬を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域(運搬のみを業として行う場合にあつては、産業廃棄物の積卸しを行う区域に限る。)を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、事業者(自らその産業廃棄物を運搬する場合に限る。)、専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集又は運搬を業として行う者その他環境省令で定める者については、この限りでない。
2 前項の許可は、五年を下らない期間であつて当該許可に係る事業の実施に関する能力及び実績を勘案して政令で定める期間ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によつて、その効力を失う。
6 産業廃棄物の処分を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、事業者(自らその産業廃棄物を処分する場合に限る。)、専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの処分を業として行う者その他環境省令で定める者については、この限りでない。
7 前項の許可は、五年を下らない期間であつて当該許可に係る事業の実施に関する能力及び実績を勘案して政令で定める期間ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によつて、その効力を失う。

(特別管理産業廃棄物処理業)
第十四条の四 特別管理産業廃棄物の収集又は運搬を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域(運搬のみを業として行う場合にあつては、特別管理産業廃棄物の積卸しを行う区域に限る。)を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、事業者(自らその特別管理産業廃棄物を運搬する場合に限る。)その他環境省令で定める者については、この限りでない。
2 前項の許可は、五年を下らない期間であつて当該許可に係る事業の実施に関する能力及び実績を勘案して政令で定める期間ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によつて、その効力を失う。
6 特別管理産業廃棄物の処分を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、事業者(自らその特別管理産業廃棄物を処分する場合に限る。)その他環境省令で定める者については、この限りでない。
7 前項の許可は、五年を下らない期間であつて当該許可に係る事業の実施に関する能力及び実績を勘案して政令で定める期間ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によつて、その効力を失う。

【政令素案】

(1) 産業廃棄物処理業者は、産業廃棄物処理業の許可の更新申請時に、以下の基準(以下「優良基準」という。)の適合性審査の申請を行うことができる。この場合にあっては、通常の許可申請時の提出書類に加え、当該審査に必要となる資料を提出しなければならない。
@ 過去5年間(当該申請者が7年の有効期間に係る許可を受けた者である場合にあっては、当該許可を受けたときから申請の際までの間)、廃棄物処理法、浄化槽法及び現行令第4条の6各号に掲げる法令に基づく不利益処分(他の都道府県・政令市における不利益処分を含む。)を受けていないこと。
A 5年以上の産業廃棄物処理業の実績を有すること。
B 事業活動に係る環境配慮の取組が、ISO14001、エコアクション21等の認証制度により認められていること。
C 次に掲げる事項について、申請の際直前の半年間(当該申請者が7年の有効期間に係る許可を受けた者である場合にあっては、当該許可を受けたときから申請の際までの間)にわたり、インターネットで公開し、かつ、所定の頻度により更新していること。
・ 会社情報(氏名又は名称、住所及び代表者の氏名等)
・ 許可内容(事業計画の概要等)
・ 施設及び処理の状況(事業の用に供する施設の種類及び数量、産業廃棄物の一連の処理の工程※等)
※ 産業廃棄物の一連の処理の工程には、以下の事項を含めて記載すること。
a) 過去1年間の廃棄物の種類ごとの受入量
b) 過去1年間の処分量(減量を行った量等を含む。)
c) 過去1年間の処分委託先(ただし、処分委託先の個別名称については公表を任意とする。)、処分委託先ごとの処分委託量、処分委託先における処分区分及び再生を行う場合にあっては再生品の用途
d) 過去1年間の売却先(ただし、売却先の個別名称については公表を任意とする。)、売却先ごとの売却量及び売却品の用途
・ 焼却処分を行っている産業廃棄物処分業者である場合にあっては、直前1年間の熱回収の有無及び実績
・ 産業廃棄物収集運搬業者である場合にあっては、低公害車の導入状況
・ 直前3年間分の財務諸表
・ 料金表の提示、料金算定式の提示、個別見積もり等の料金の提示方法
・ 組織体制(社内組織、職務分掌等)
・ 生活環境保全上の利害関係者に対する事業場の公開の有無及び公開頻度
D 電子マニフェストの利用が可能であること。
E 財務体質の健全性に係る次に掲げる基準に適合していること。
a) 過去3カ年の平均自己資本比率が10%以上であること
b) 過去3カ年の経常損益の合計額に過去3カ年の減価償却費の合計額を加えて得た額が0円以上であること
c) 国税、都道府県税、市町村税、社会保険料、労災・雇用保険料及び維持管理積立金の納付額に未納のものがないこと
(2) 都道府県知事は、当該申請者が優良基準に適合していると認めるときは、産業廃棄物処理業の許可の有効期間を7年とし、それ以外の場合は5年とする。

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棄物処理法の改正公布(5月19日)


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