I-Method

要綱外


【改正内容】

1 帳簿備え付け義務のある事業者が拡大され、事業場外の自社処分、事業場内の小規模焼却炉が対象になる。
2 収集運搬業の許可権限が都道府県単位にまとめられる。
3 経理的基礎に関する提出書類が会社法改正に伴って見直され、株主資本等変動計算書及び個別注記表が財務諸表として加えられる。
4 多量排出事業者処理計画が知事から公表される。
5 改正法の施行期日は平成23年4月1日とする。

【解説】

 収集運搬業の許可権限が都道府県単位にまとめられることについて、処理業者は歓迎しているが、政令市は権限の縮小、手数料収入の減収など、不満も聞こえてくるようである。
 帳簿備付義務の拡大については、適用対象の定義が厳密でなく、波紋を呼びそうである。

【政省令改正案】

1.帳簿(法第12条第13項関係)
法第12条第13項において、事業活動に伴い産業廃棄物を生ずる事業者で政令で定めるものについて帳簿の備え付けが義務付けられており、現在は産業廃棄物処理施設を設置している事業者がその対象となっている(現行令第6条の4)。

(1) 帳簿を備えることを要する事業者(現行令第6条の4関係)
帳簿を備え付ける義務を有する事業者に、
@ 事業活動に伴い産業廃棄物を生ずる事業場の外において自ら当該産業廃棄物の処分を行う事業者
A 事業活動に伴い産業廃棄物を生ずる事業場内に設置された、許可対象とされていない小規模な焼却施設において、自ら当該産業廃棄物の焼却を行う事業者
を追加するものとする。

(2) 帳簿記載事項(現行規則第8条の5第1項関係)
(1)により新たに帳簿を記載する事業者に関する帳簿記載事項を、次のとおりとする。@の事業者にあっては、事業場の外において自ら処分する産業廃棄物の種類ごとに、次のとおりとする。
・運搬:産業廃棄物を生じた事業場、運搬年月日、運搬方法及び運搬先ごとの運搬量、積替え又は保管を行う場合には、積替え又は保管の場所ごとの搬出量
・処分:産業廃棄物の処分を行った場所、処分年月日、処分方法ごとの処分量、処分(埋立処分及び海洋投入処分を除く)後の廃棄物の持出先ごとの持出量
ただし、(1)@の事業者が、法第15条に規定する産業廃棄物処理施設の設置許可を受けた施設において産業廃棄物を処分する場合にあっては、現行制度上既に帳簿の備え付けが義務付けられていることから、処分に関する記載は不要とする。
Aの事業者にあっては、当該焼却施設において処分される産業廃棄物の種類ごとに、次のとおりとする。
・処分:処分年月日、処分方法ごとの処分量、処分(埋立処分及び海洋投入処分を除く)後の廃棄物の持出先ごとの持出量

2.産業廃棄物収集運搬業許可の合理化(法第24条の2及び現行令第27条関係)
この法律の規定により都道府県知事の権限に属する事務の一部は、政令で定めるところにより、政令で定める市の長が行うこととすることができる(法第24条の2第1項)。
法に規定する都道府県知事の権限に属する事務のうち、廃棄物再生事業者の登録に関する事務以外の事務は、地方自治法上の指定都市の長、中核市並びに呉市、大牟田市及び佐世保市の長(以下「指定都市の長等」という。)が行うこととする(現行令第27条)。
法に規定する都道府県知事の権限に属する事務のうち、法第14条第1項及び第14条の4第1項の規定による産業廃棄物収集運搬業許可に関する事務は、産業廃棄物を一の政令市の区域を越えて収集又は運搬を行う場合には、当該政令市の区域を管轄する都道府県知事が行うこととする。ただし、産業廃棄物の収集又は運搬に伴い積替え又は保管を行う場合にあっては、従前通り、当該積替え又は保管を行おうとする区域を管轄する政令市の長が行うこととする。

3.会社法改正に伴う経理的基礎に関する提出書類の見直し(現行規則第3条及び第11条等関係)
 廃棄物処理施設を設置しようとする者等が法人である場合には、許可等の申請時に、直前3年の各事業年度における貸借対照表、損益計算書並びに法人税の納付すべき額及び納付済額を証する書類を申請書に添付するものとする(現行規則第3条第5項第7号等)。
 改正会社法の施行に伴い、法人会計に係る計算書類の構成が変更され、従前は貸借対照表及び損益計算書に記載されていた内容の一部が、株主資本等変動計算書及び個別注記表に記載されることとなったことから、廃棄物処理施設の設置許可等の申請に際し必要となる書類に、これらの書類を追加することとする。

4.多量排出事業者処理計画(法第12条第9項から第11項まで及び第12条の2第10項から第12項まで関係)
多量排出事業者は、環境省令で定める基準に従い、当該事業場に係る産業廃棄物の減量その他その処理に関する計画を作成し、都道府県知事に提出しなければならない(法第12条第9項)。
多量排出事業者は、計画の実施の状況について、環境省令で定めるところにより、都道府県知事に報告しなければならない(法第12条第10項)。
都道府県知事は、計画及び実施の状況について、環境省令で定めるところにより、公表するものとする(法第12条第11項)。
特別管理産業廃棄物についても同様とする(法第12条の2第10項から第12項)。

(1) 多量排出事業者の産業廃棄物処理計画の様式
法第12条第9項及び第12条の2第10項の環境省令で定める基準において、計画の様式を設ける。

(2) 計画等の記載事項の変更(現行規則様式第2号の2から第2号の5まで関係)
@ 委託する処分(様式第2号の2及び第2号の4)又は委託した処分(様式第2号の3及び第2号の5)の内容について、再生利用、熱回収、処分の別や、認定熱回収施設設置者又は特例優良許可業者(優良基準に適合するとして許可期間の特例を受けた者をいう。)に委託している場合にはその別に記載することとする。
A 再生利用、処分等について、その主な方法について記載することとする。

(3) 公表(法第12条第11項及び第12条の2第12項関係)
都道府県知事への提出は電子ファイル(メール又はCD−ROM等)にて行うこととし、都道府県知事は、インターネットの利用その他適切な方法により公表するものとする。

5.施行期日
平成23年4月1日を予定(改正法の施行日と同日。なお、改正法の施行期日については別途改正法の施行期日を定める政令において定める。)。

先頭のページ 前のページ 次のページ 末尾のページ
棄物処理法の改正公布(5月19日)


I-Method Webセミナーへのへのご意見・ご提案・ご感想をお待ちしております。