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法改正要綱7−4−2


【要綱】処理困難通知を受けた者の措置義務

2 1の通知を受けた者は、速やかに処理の状況を把握するとともに、適切な措置を講じなければならないこととすること。

【解説】

 前項の解説でも述べたが、処理困難通知を受けた時の措置義務に歯止めをかけないと、とんでもない過酷な義務を排出事業者に課すことになる。
 しかし、歯止めをかけるどころか、前項の処理困難通知義務は、あらゆるケースを想定した網羅的な規定となっている。本条には直接的な罰則の適用がないが、不履行の場合には措置命令の対象となるので、間接的に排出事業者にも罰則も適用されることになる。
 すなわち不可抗力と故意と違法行為とをとわず、処理業者が不良在庫を生じさせた場合、処理困難通知を受けた管理票交付者(排出事業者)に対して、ほとんど無条件で措置命令を発する根拠を行政に与えているのである。このような強権的な規定であるにもかかわらず、産業界からチェックを受けずに条文化されてしまったというのは、ちょっと信じがたい気がする。

 ちょっときたない言葉だが、やくざ用語に「ケツもち」というものがある。不始末の後始末をさせるという意味である。本条はまさに、処分業者の不始末のケツを排出事業者にもたせる「ケツもち規定」である。
 前項の解説の繰り返しになるが、管理票の回付を受けている不良在庫廃棄物についてまで、処理困難通知義務と措置義務の対象にしたら、管理票の回付などなんの意味も持たないことになるだろう。
 もちろん、処分費を支払っているのに不良在庫になっているなら、民法上は債務不履行であるから、排出事業者は処分業者に対して求償することができる。しかし、自主廃業したり、許可を取り消されたりした業者に賠償の財源があるとは思われない。

 建設系廃棄物の取り扱いについての改正が話題になることが多いが、本条こそ今回の改正の目玉だと私は考えている。

【改正条文】

(産業廃棄物管理票)
第十二条の三
8 管理票交付者は、環境省令で定める期間内に、第三項から第五項まで若しくは第十二条の五第五項の規定による管理票の写しの送付を受けないとき、これらの規定に規定する事項が記載されていない管理票の写し若しくは虚偽の記載のある管理票の写しの送付を受けたとき、又は第十四条第十三項若しくは第十四条の四第十三項の規定による通知を受けたときは、速やかに当該委託に係る産業廃棄物の運搬又は処分の状況を把握するとともに、環境省令で定めるところにより、適切な措置を講じなければならない。

(措置命令)
第十九条の五
三 当該産業廃棄物に係る産業廃棄物の発生から当該処分に至るまでの一連の処理の行程における管理票に係る義務(電子情報処理組織を使用する場合にあつては、その使用に係る義務を含む。)について、次のいずれかに該当する者があるときは、その者
ヘ 第十二条の三第八項の規定に違反して、適切な措置を講じなかつた者

【省令素案】

(4) 処理困難通知を受けたときの事業者の適切な措置の内容
マニフェストを交付した事業者は、当該マニフェストの写しの送付を受けていない処理業者から処理困難通知を受けたときは、虚偽マニフェストの写しの送付を受けたとき等と同様、生活環境の保全上の支障の除去又は発生の防止のために必要な措置を講ずるとともに、通知を受けた日から30日以内に、措置内容等報告書を都道府県知事に提出するものとする。

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棄物処理法の改正公布(5月19日)


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