法改正要綱4−3
【要綱】廃棄物処理施設の適正な維持管理を確保するための措置廃棄物処理施設に係る定期検査
三 許可の取消しを受けた最終処分場に係る措置
廃棄物処理施設である廃棄物最終処分場について許可を受けた者がその許可を取り消されたときは、当該許可を取り消された者又はその承継人は、当該廃棄物最終処分場が廃止基準に適合するまで維持管理を行う義務を有することとし、都道府県知事の確認を受けるまでの間は、第八条の三等の規定の適用については、なお廃棄物処理施設の設置者等とみなすこととすること。
【解説】
許可が取り消された最終処分場の跡地は、管理者がいない不法投棄現場と同然の状態に放置されていることが少なくない。とくに水処理施設の運転が必要な管理型最終処分場の許可を取り消した場合、汚染水が滞留し、流出する恐れが高かった。100万トン以上の有害物質を含む管理型最終処分場の管理が放棄されれば、100万トン級の不法投棄現場が出現したのと同じことである。あるいは汚染源としては不法投棄現場よりも深刻である。しかしながら、許可施設の不適正処理は不法投棄の統計にカウントされていない。このような現場は統計上の不法投棄現場よりも多いとすらいえる。
許可取り消し施設の跡地管理の問題は、自治体が許可取り消しに消極的な理由のひとつとなっていたが、とくに跡地の有効利用が難しい最終処分場は、許可取り消しに消極的な自治体が多かった。
今回の改正で、事態がどれだけ改善するかわからないが、許可取り消し後の最終処分場の管理者について明文で定めたことは、大きな前進であると言える。
ただし、かつて認められていた自社処分場跡地の問題はまだ手付かずである。とくに自動車や家電のシュレッダーダストが安定型自社処分場に埋め立てることが認められていた時代があり、今後大きな負の遺産として浮上してくる可能性がある。
さらにさかのぼれば、廃棄物処理法施行(1972年)以前には、病院の感染性廃棄物が、病院敷地内に埋め立てられていたことがあった。最近になっても、病院跡地の再開発で、かつて埋め立てられた注射器などが出てくる事件があとを絶たない。
最終処分場を私企業が管理するこは不可能だという意見に必ずしも賛成はしないが、民間に任せる以上は、セーフティネットを万全にしておかなければならない。
【改正条文】
(許可の取消しに伴う措置)
第九条の二の三 一般廃棄物処理施設である一般廃棄物の最終処分場について第八条第一項の許可を受けた者が前条第一項又は第二項の規定により当該許可を取り消されたときは、当該許可を取り消された者又はその承継人(次項において「旧設置者等」という。)は、次項の規定による確認を受けるまでの間は、第八条の二の二第一項、第八条の三、第八条の四、第九条の二第一項及び第九条の四の規定(これらの規定に係る罰則を含む。)の適用についてはなお第八条第一項の許可を受けた者と、第十八条第一項、第十九条第一項及び第二十一条の規定(これらの規定に係る罰則を含む。)の適用についてはなお第九条の四に規定する一般廃棄物処理施設の設置者と、第二十一条の二第一項の規定(同項の規定に係る罰則を含む。)の適用についてはなお同項に規定する設置者とみなす。
2 旧設置者等は、環境省令で定めるところにより、あらかじめ当該最終処分場の状況が第九条第五項に規定する技術上の基準に適合していることについて都道府県知事の確認を受けたときに限り、当該最終処分場を廃止することができる。
(許可の取消しに伴う措置)
第十五条の三の二 産業廃棄物処理施設である産業廃棄物の最終処分場について第十五条第一項の許可を受けた者が前条の規定により当該許可を取り消されたときは、当該許可を取り消された者又はその承継人(次項において「旧設置者等」という。)は、次項の規定による確認を受けるまでの間は、第十五条の二の二第一項、第十五条の二の三、第十五条の二の四において読み替えて準用する第八条の四、第十五条の二の七、第十五条の四において読み替えて準用する第九条の四、第十八条第一項、第十九条第一項及び第二十一条の規定(これらの規定に係る罰則を含む。)の適用についてはなお産業廃棄物処理施設の設置者と、第二十一条の二第一項の規定(同項の規定に係る罰則を含む。)の適用についてはなお同項に規定する設置者とみなす。
2 旧設置者等は、環境省令で定めるところにより、あらかじめ当該最終処分場の状況が第十五条の二の六第三項において読み替えて準用する第九条第五項に規定する技術上の基準に適合していることについて都道府県知事の確認を受けたときに限り、当該最終処分場を廃止することができる。
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