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法改正要綱7−5−4


【要綱】建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理に関する例外

4 下請負人が建設工事に伴い生ずる廃棄物の運搬又は処分を他人に委託する場合にあっては、当該下請負人を事業者とみなして、委託基準及び産業廃棄物管理票制度に係る規定を適用すること。

【解説】

 第4項は、2通りの解釈が可能な条文である。
 第一の解釈は、第4項は第1項に対する包括的な例外規定であるという解釈である。すなわち、下請業者が収集運搬業又は処分業の許可を有さないときには、下請業者がみなし排出者として処理委託ができることになる。(処理業許可がある場合は、下請け業者による委託は再委託となる。)
 この解釈が可能だと、第1項は無意味なものになり、元請も下請もどちらも排出者になれるという現行の取り扱いになんら修正がないことになる。
 第二の解釈は、第4項は第1項の例外規定ではなく、第1項に違反して下請業者が処理委託をした場合に、委託基準を適用する規定であるにすぎないという解釈である。
 環境省は施行前の法に対して異例の通達を出して、第二の解釈をとることを明確にしている。
 しかし、第二の解釈の場合、第4項は、殺人犯に「殺人は違法だが、それでも殺すなら殺しのルールを守れ」と命ずるようなおかしな規定になってしまうので、私は第一の解釈を取るべきだと考える。
 多くの自治体は、第4項は第1項を修正しないという環境省の解釈に沿って、行政処分・行政指導をすると思われる。すなわち第4項が適用される事例はないことになる。それでも第一の解釈をとって第4項による例外的委託を行う下請業者が頻発した場合には、最終的には裁判によっていずれの解釈が妥当か決着することになるのではないかと考えられる。
 裁判所は第一の解釈を取るのではないかと私は予想している。

【改正条文】

(建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理に関する例外)
第二十一条の三
4 建設工事に伴い生ずる廃棄物について下請負人がその運搬又は処分を他人に委託する場合(当該廃棄物が産業廃棄物であり、かつ、当該下請負人が産業廃棄物収集運搬業者若しくは産業廃棄物処分業者又は特別管理産業廃棄物収集運搬業者若しくは特別管理産業廃棄物処分業者である場合において、元請業者から委託を受けた当該廃棄物の運搬又は処分を他人に委託するときを除く。)には、第六条の二第六項及び第七項、第十二条第五項から第七項まで、第十二条の二第五項から第七項まで、第十二条の三並びに第十二条の五の規定(これらの規定に係る罰則を含む。)の適用については、第一項の規定にかかわらず、当該下請負人を事業者とみなし、当該廃棄物を当該下請負人の廃棄物とみなす。

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棄物処理法の改正公布(5月19日)


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