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6-17 最終処分3

単年度のキャッシュフロー

 最終処分場の残存容量の変化は、中間覆土時の検査や年1〜2の行政への実績報告などで、把握されており、ネットで情報公開している処分場もある。
 複数年度の残存容量がわかれば、その差から単年度の埋立容量がわかる。これと実績報告の単年度埋立重量を比較すれば、埋立物の比重がわかる。

 式1 埋立物の比重=今期埋立重量/(前期残存容量−今期残存容量)

 ただし、中間覆土の義務付けのある自治体では補正が必要になる。

 式2 埋立物の比重=今期埋立重量/(前期残存容量−今期残存容量−覆土量)

 なお、埋め立てられた廃棄物はコンパクターなどの重機によって圧密され、比重が変る。圧密率は廃棄物の品目、性状、圧密方法でことなるが、30%程度である。
 式2で計算した比重は圧密後の比重であり、受託時の比重ではない。

 最終処分場の単年度キャッシュフローは、1日搬入台数で決まる。その他の要因である処分料金、金利、維持管理コストなどは、与件として決まっている。
 一日搬入台数は、借入金返済計画などから、自由に決定できる場合と、道路事情や住民協定などで上限が決められている場合がある。
 自由に決定できる場合は、埋立計画残存期間を設定し、そこから逆算して1月(または1日)搬入台数を決定する。埋立計画残存期間は借入金返済期間よりも長くなければならない。

 式3 一月搬入台数=残存容量/埋立計画残存月数/ダンプ1台容量

 式3は、覆土率(20%)と圧密率(30%)を考慮していないが、両者は相殺の関係にあるため、同時に無視すれば、大きな誤差とはならない。
 搬入台数が決まれば、キャッシュフロー(CF)計算は簡単である。

 式4 CF=搬入台数×処分単価−(返済金+支払利息+維持管理コスト)

 当然のことながら、借入金の完済後、キャッシュフローは劇的に増加する。建設まもない最終処分場が埋め急ぐのはそのためである。一般的に、借入金完済前後で最終処分場の経常利益率は20%代から40%代へと倍増する。税引後フリーキャッシュフロー率が20%という最終処分場も珍しくない。借入金さえ返済してしまえば、まさに最終処分場は「金のなる穴」である。

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