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法改正要綱3


【要綱】廃棄物処理施設に係る定期検査

 廃棄物処理施設の設置の許可を受けた者は、環境省令で定める期間ごとに、当該廃棄物処理施設が施設の技術上の基準に適合するかどうかについて、都道府県知事の検査を受けなければならないこととすること。

【解説】

 これまで業許可については厳しい検査が行われ、許可取り消しを含む厳しい行政処分が課されてきたが、業許可を伴わない施設については、一度許可になると検査が行われないことが多かった。今回の改正で、排出事業者が設置する自社処理施設についても、検査義務が課されることになった。これは行政庁の事務処理を増加させる改正であるとともに、検査を受ける側の事務量も増加させる。
 なお、すべての処理施設を定期検査の対象にするのではなく、設置許可にあたって縦覧を要する施設に限定している。
 これは、検査にかかる事務量を減らす措置であると考えられる。

【改正条文】

(定期検査)
第八条の二の二 第八条第一項の許可(同条第四項に規定する一般廃棄物処理施設に係るものに限る。)を受けた者は、当該許可に係る一般廃棄物処理施設について、環境省令で定めるところにより、環境省令で定める期間ごとに、都道府県知事の検査を受けなければならない。
2 前項の検査は、当該一般廃棄物処理施設が前条第一項第一号に規定する技術上の基準に適合しているかどうかについて行う。

(定期検査)
第十五条の二の二 産業廃棄物処理施設の設置者(第十五条第四項に規定する産業廃棄物処理施設について同条第一項の許可を受けた者に限る。)は、当該産業廃棄物処理施設について、環境省令で定めるところにより、環境省令で定める期間ごとに、都道府県知事の検査を受けなければならない。
2 前項の検査は、当該産業廃棄物処理施設が前条第一項第一号に規定する技術上の基準に適合しているかどうかについて行う。

【法第十五条第四項

 ここでは産業廃棄物処理施設にかかる第十五条の二の二について解説を加える。同条では、「第十五条第四項に規定する産業廃棄物処理施設について同条第一項の許可を受けた者に限る。」という限定がついている。
 第十五条第一項、第四項は次の条文である。

(産業廃棄物処理施設)
第十五条 産業廃棄物処理施設(廃プラスチック類処理施設、産業廃棄物の最終処分場その他の産業廃棄物の処理施設で政令で定めるものをいう。以下同じ。)を設置しようとする者は、当該産業廃棄物処理施設を設置しようとする地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。
4 都道府県知事は、産業廃棄物処理施設(政令で定めるものに限る。)について第一項の許可の申請があつた場合には、遅滞なく、第二項第一号から第四号までに掲げる事項、申請年月日及び縦覧場所を告示するとともに、同項の申請書及び前項の書類(同項ただし書に規定する場合にあつては、第二項の申請書)を当該告示の日から一月間公衆の縦覧に供しなければならない。

【現行政令 第七条の二】

 第四項で引用している政令とは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和四十六年九月二十三日政令第三百号・最終改正平成二〇年一〇月一六日政令第三一六号)のことであり、政令の該当条文は次のとおりである。

(縦覧等を要する産業廃棄物処理施設)
第七条の二 法第十五条第四項の政令で定める産業廃棄物処理施設は、前条第三号、第五号、第八号及び第十一号の二から第十四号までに掲げるものとする。

 すなわち、法第十五条施設のすべてではなく、縦覧にかかる施設のみが、今回の定期検査の対象となることになる。

【現行政令 第七条】

 定期検査の対象となる政令第7条第三号、第五号、第八号及び第十一号の二から第十四号は次のとおりである。
 なお、三号、五号、八号、十二号、十三号の二は焼却施設、十四号は最終処分場、その他は溶融、分解、洗浄、分離施設である。

(産業廃棄物処理施設)
第七条  法第十五条第一項 の政令で定める産業廃棄物の処理施設は、次のとおりとする。
 汚泥(ポリ塩化ビフェニル汚染物及びポリ塩化ビフェニル処理物であるものを除く。)の焼却施設であつて、次のいずれかに該当するもの
イ 一日当たりの処理能力が五立方メートルを超えるもの
ロ 一時間当たりの処理能力が二百キログラム以上のもの
ハ 火格子面積が二平方メートル以上のもの
 廃油(廃ポリ塩化ビフェニル等を除く。)の焼却施設であつて、次のいずれかに該当するもの(海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律第三条第十四号 の廃油処理施設を除く。)
イ 一日当たりの処理能力が一立方メートルを超えるもの
ロ 一時間当たりの処理能力が二百キログラム以上のもの
ハ 火格子面積が二平方メートル以上のもの
 廃プラスチック類(ポリ塩化ビフェニル汚染物及びポリ塩化ビフェニル処理物であるものを除く。)の焼却施設であつて、次のいずれかに該当するもの
イ 一日当たりの処理能力が百キログラムを超えるもの
ロ 火格子面積が二平方メートル以上のもの
十一の二  廃石綿等又は石綿含有産業廃棄物の溶融施設
十二 廃ポリ塩化ビフェニル等、ポリ塩化ビフェニル汚染物又はポリ塩化ビフェニル処理物の焼却施設
十二の二  廃ポリ塩化ビフェニル等(ポリ塩化ビフェニル汚染物に塗布され、染み込み、付着し、又は封入されたポリ塩化ビフェニルを含む。)又はポリ塩化ビフェニル処理物の分解施設
十三  ポリ塩化ビフェニル汚染物又はポリ塩化ビフェニル処理物の洗浄施設又は分離施設
十三の二  産業廃棄物の焼却施設(第三号、第五号、第八号及び第十二号に掲げるものを除く。)であつて、次のいずれかに該当するもの
イ 一時間当たりの処理能力が二百キログラム以上のもの
ロ 火格子面積が二平方メートル以上のもの
十四  産業廃棄物の最終処分場であつて、次に掲げるもの
イ 第六条第一項第三号ハ(1)から(5)まで及び第六条の五第一項第三号イ(1)から(6)までに掲げる産業廃棄物の埋立処分の用に供される場所
ロ 安定型産業廃棄物の埋立処分の用に供される場所(水面埋立地を除く。)
ハ イに規定する産業廃棄物及び安定型産業廃棄物以外の産業廃棄物の埋立処分の用に供される場所(水面埋立地にあつては、主としてイに規定する産業廃棄物及び安定型産業廃棄物以外の産業廃棄物の埋立処分の用に供される場所として環境大臣が指定する区域に限る。)

【省令素案】

(1) 定期検査の申請(法第8条の2の2第1項及び第15条の2の2第1項関係)
@ 法第8条の2の2第1項及び第15条の2の2第1項の検査(以下「定期検査」という。)を受けようとする者は、以下の事項を記載した申請書を都道府県知事に提出しなければならない。
・ 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
・ 許可番号及び許可年月日
・ 施設の名称及び所在地
A 廃棄物処理施設の設置者が自主的に行った点検の結果など、参考となる書類又は図面がある場合には、これを申請書に添付するものとする。

(2) 定期検査の受検期間(法第8条の2の2第1項及び第15条の2の2第1項関係)
法第8条の2の2第1項及び第15条の2の2第1項の環境省令で定める期間は、5年以内とする。
改正法施行の際、既に使用前検査を受けた施設の設置者は、一定期間4以内に定期検査を受けなければならないこととする。
4 当該施設に係る設置の許可を受けた時期に応じて1〜5年以内とする。

(3) 定期検査結果の通知(法第8条の2の2及び第15条の2の2関係)
都道府県知事は、定期検査を行ったときは、施設の設置者に対し、検査終了日、検査の結果及び次回の検査に係る受検期限等を書面により通知するものとする。

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棄物処理法の改正公布(5月19日)


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