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法改正要綱7−2


【要綱】事業者による処理の状況に関する確認の努力義務の明確化

 事業者は、産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、当該産業廃棄物の処理の状況に関する確認を行うよう努めなければならないこととすること。

【解説】

 第十二条第七項及び第十二条の二第七項に「当該産業廃棄物の処理の状況に関する確認を行い、」という文言が挿入された。これまでの適正処理義務に確認義務が追加されたということである。
 これは罰則のない努力義務であるが、第十九条の六第二項の措置命令の対象として盛り込まれているので、なんらのペナルティもない単なる訓示規定ではない。すなわち、確認義務違反をとがめて排出事業者に措置命令を発する裁量権が自治体に与えられている。
 これまでの中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会においては、この確認義務は現地確認義務であり、写真などによる間接的な確認は不可とされていた。その一方で優良性評価制度の認定業者については、確認義務を免除するという議論も出ていた。
 今後、確認義務の考え方については通達で明確にされるものと考えられる。

 現地確認義務について、私見を述べさせてもらう。
 (1)現地確認義務の履行は小規模排出事業者にはムリである。また、多量排出事業者であっても、年に1、2回の実施が限度であり、それ以上はムリである。
 (2)コンサル業者に現地確認業務を委託すれば、効率的かつ経済的に精度の高い現地確認ができる。こうした代行業務は認めるべきである。ただし、その場合には現地確認代行業者の登録制度を検討すべきである。
 (3)確認義務については、委託した廃棄物が処分場に確実に到達したかの確認(収集運搬の確認)と、処分場に到達後に適正に処理されたかの確認(処分の確認)がある。いずれの確認も、排出事業者が行うことは不可能である。年に1、2回、現地確認をしたとしても、それは視察程度の意味しかない。
 (4)収集運搬の確認については、GPS携帯によって収集運搬車両の到達時に、撮影位置情報付き写真を撮影すれば、技術的には可能である。また、処分の確認については、WEBカメラによって処分状況を24時間監視すれば可能である。このような方法を現時点で法的に義務付けるということは到底考えられないが、現地確認方法としては、年に1、2回の視察よりもはるかにすぐれている。
 (5)環境省の優良性評価制度の主眼とするところは、情報公開であるので、認定業者について確認義務を免除するという合理性はある。ただし、現状においては、自治体の認定の精度が低い。筆者の分析によれば、公開情報に遺漏があっても認定されている例が多いし、情報更新を怠っていても、認定の取り消しを受けた例はほとんどない。優良性評価制度と現地確認義務を関連付けるのであれば、優良性評価制度の精度を上げるべきである。
 なお、当サイト(I-Method Forum)は、自治体の認定が適正に行われているかどうか、再検証を進めている。

【改正条文】

(事業者の処理)
第十二条
7 事業者は、前二項の規定によりその産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、当該産業廃棄物の処理の状況に関する確認を行い、当該産業廃棄物について発生から最終処分が終了するまでの一連の処理の行程における処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるように努めなければならない。

(事業者の特別管理産業廃棄物に係る処理)
第十二条の二
7 事業者は、前二項の規定によりその特別管理産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、当該特別管理産業廃棄物の処理の状況に関する確認を行い、当該特別管理産業廃棄物について発生から最終処分が終了するまでの一連の処理の行程における処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるように努めなければならない。

(措置命令)
第十九条の六 前条第一項に規定する場合において、生活環境の保全上支障が生じ、又は生ずるおそれがあり、かつ、次の各号のいずれにも該当すると認められるときは、都道府県知事は、その事業活動に伴い当該産業廃棄物を生じた事業者(当該産業廃棄物が中間処理産業廃棄物である場合にあつては当該産業廃棄物に係る産業廃棄物の発生から当該処分に至るまでの一連の処理の行程における事業者及び中間処理業者とし、当該収集、運搬又は処分が第十五条の四の三第一項の認定を受けた者の委託に係る収集、運搬又は処分である場合にあつては当該産業廃棄物に係る事業者及び当該認定を受けた者とし、処分者等を除く。以下「排出事業者等」という。)に対し、期限を定めて、支障の除去等の措置を講ずべきことを命ずることができる。この場合において、当該支障の除去等の措置は、当該産業廃棄物の性状、数量、収集、運搬又は処分の方法その他の事情からみて相当な範囲内のものでなければならない。
一 処分者等の資力その他の事情からみて、処分者等のみによつては、支障の除去等の措置を講ずることが困難であり、又は講じても十分でないとき。
二 排出事業者等が当該産業廃棄物の処理に関し適正な対価を負担していないとき、当該収集、運搬又は処分が行われることを知り、又は知ることができたときその他第十二条第七項、第十二条の二第七項及び第十五条の四の三第三項において準用する第九条の九第九項の規定の趣旨に照らし排出事業者等に支障の除去等の措置を採らせることが適当であるとき。

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棄物処理法の改正公布(5月19日)


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