I-Method

6-4 収集運搬3

収集運搬単独のキャッシュフロー(CF)公式

 収集運搬単独のキャッシュフローは、CF=収入−原価と単純に表現されるにすぎないが、これをp運搬原単位利益で分解すると、次の公式になる。(売掛債権回収期間を無視している。)なお、運搬原単位はトンまたはkgを用いる。

 公式1 CF=総運搬実績×p

 この公式1のうち総運搬実績を、a平均積載能力、b積載効率、c車両回転数、d総運搬日数の4つに分解すると、次のように変形される。

 公式2 CF=a×b×c×d×p

 ここでa〜pは次の意味である。

 a平均積載能力=総運搬能力/車両台数
 b積載効率=総運搬実績/(総運搬回数×平均積載能力)
 c車両回転数=総運搬回数/総運搬日数
 d総運搬日数=車両台数×車両回転数×平均運搬日数
 p運搬原単位利益=運搬原単位収入-運搬原単位原価

 結局、収集運搬単独のキャッシュフローを増やすには、車両を大型化するか、積載効率を上げるか、車両回転数を上げるか、車両台数を増やすか、平均運搬日数を上げるか、荒利益率を挙げるか(料金を上げるか原価を下げるか)、いずれかの戦略が必要になる。

 他社委託(収集運搬再委託、代車・用車)がある場合、誤差の要因になる。この場合は、次修正式をキャッシュフローに追加する。

 修正CF=他社車両積載能力×積載効率×委託回数×(単位料金−委託単価)

収集運搬単独の2つの業態

 収集運搬には2つの業態がある。すなわち「一次収集運搬」と「二次収集運搬」である。
 一次収集運搬とは、廃棄物を最初に排出する事業所・工場・現場から積替保管場や中間処理施設などの一次集荷場までの収集運搬である。
 一次収集運搬の特徴は、小口・多品目・多排出場所・短距離だということである。このため、一次収集運搬は、車両が小型になり、積載効率、車両回転数が低くり、その結果、運搬原価は高くなる。
 複数の顧客を巡回して収集運搬するする定期回収(ミルクラン)は、特定の顧客だけから収集運搬するスポット回収よりも、積載効率を高め、単位原価を下げるめりっとがある。一次収集運搬の場合には、いかに定期回収比率を高めるかが重要である。ただし、顧客によっては、コストが高くてもスポット回収を希望する場合もある。これは複数顧客、複数品目が混合されることによって、トレーサビリティ(追跡性)品質が下がる(不法投棄リスクが上がる)からである。

 二次収集運搬とは、積替保管・中間処理・リサイクル後の収集運搬である。ただし、リサイクル製品の運搬を請け負うには貨物運送業の許可が必要になる。(自社運搬なら許可は必要ない。)
 二次収集運搬の特徴は、大口・単品目・単独排出場所・長距離だということである。つまり、一次収集運搬とは正反対であり、車両は大型になり、積載効率も高い。二次収集運搬は、貨物運送業によく似た業態であり、運送業の営業ナンバーが必要ではないかという法令解釈もあるが、現在のところ、収集運搬業の業態として認められている。

収集運搬単独の不法投棄のリスク

 一次収集運搬と二次収集運搬とでは、業態があきらかに異なるので、不法投棄のリスクも異なる。
 正規の契約をして、マニフェスト(産業廃棄物管理票)を作成して一次収集運搬を委託した廃棄物が、直接不法投棄されるリスクは、それほど高くはない。4トン車で遠方の不法投棄現場に向かうのは効率的ではないからである。
 ただし、契約書もマニフェストもなしに、一次収集運搬を委託した場合は、当然のことだが、リスクは飛躍的に高まる。しかし、マニフェストがないからといって、リスクが100%になるわけではない。
 それは、マニフェストなしの持込廃棄物を安価に受け入れてくれる積替保管場や中間処理施設が少なくないからである。ただし、こうした施設は、廃棄物がオーバーフローしやすく、不法投棄現場に流出しやすいので、結果的には不法投棄リスクは低くはない。また、無許可積替保管場に運搬された場合は、不法投棄リスクが極めて高いといえる。
 廃棄物をリサイクルすると称して無許可で受け入れている「便利屋」的な業態もあるが、リサイクル率が100%になることはありえないので、残渣の処分方法を確認しておく必要がある。廃棄物の処理費が必要になる便利屋は、もぐり処分場である。

 二次収集運搬は、無許可車両であれば、不法投棄のリスクは100%だといってよい。無許可車両を受け入れる最終処分場は、ほとんどないからである。許可のある二次収集運搬業者に委託した場合でも、不法投棄リスクはゼロにはならない。マニフェストE票(最終処分確認票)は偽造が簡単だからである。この偽造に許可のある最終処分場が自ら関与している場合もまれにある。

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