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7-19 最終処分業(6)

補足 許可取得の難しさ

 最終処分場の立地条件についての明確な基準がないことが、かえってトラブルの種になり、処分場の立地を難しくしてしまっている。設置基準はあるが、立地基準はない。これは他の分野にも共通する日本の立法の弱点であり、さまざまな無益な紛争が各所で起こっている。(立地反対運動というのは、最高にうまくいってもなかったことになるだけで、手に入るものはなにもないのだから、無益な紛争というべきで、そういう無益な紛争が生じないようにあらかじめ制度設計するのが立法者の責務である。)
 多くの自治体が法律とは別に事前協議制度を設けているが、立地条件が明確に定まっているわけではなく、あくまで許可権者が事前調整する場であるにすぎず、紛争処理の場でもない。
 立地反対運動が起こると(必ず起こるのだが)、業者側に右翼や政治家、反対派住民側に環境団体や環境派弁護士がつき、最終処分場の建設は、職業的な紛争の場、プロの仕事場になってしまう。処分場が許可になっても、さらに紛争が続くこともまれではない。こうした紛争を懸念して、金融機関が融資に消極的になることもあるが、これもまた闇金融のプロに暗躍の場を提供するにすぎない。単純計算で、100億円で作った処分場から300億円の売上が上がるのだから、利権の争奪戦になるのはやむをえない。うがった見方をすれば、住民側についた環境派だって、そこから利権を得ている。
 リサイクルの時代となり、もはやビジネスモデルとして単独最終処分場が陳腐化しつつある現状においてもなお、最終処分場立地基準が不明確なまま放置されてきたことが悔やまれる。

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