I-Method

7-8 収集運搬業(2)

チェック項目2 車両

 収集運搬車両の名義は、自社とは限らず、次のような多様な区分がある。なお、これは法的な区分ではなく、筆者独自の参考区分である。

 1 自社所有車両(車検証の所有者欄または使用者欄に自社名が記載されている車両)
 2 リース車両(リース会社との契約のある車両)
 3 借り上げ車両(リース会社以外からの借り上げ契約のある車両。同業者間の車両の融通つまり重複登録の温床となっている。自治体単位では重複をチェックしているが、自治体をまたがるとノーチェック。関連会社名義車両もこの区分に入る。)
 4 社員名義車両(社長や社員の個人名義の車両の借り上げである。社員がもともと持っていた車両を持ち込んだ場合、社員の名義を借りてローンを組んだ車両の場合、社長の所得税の節税策など、いろいろなケースがある。)
 5 ローン名義偽装車両(自社名義でローンが組めない事情があり、他社名義を借りてローンを組んだ車両)
 6 みなし借り上げ車両(契約なしに他社車両を一時的に借り上げ車両とみなしているだけのケース。建設工事現場で資材運搬車両に廃棄物を運搬させ、これを借り上げ車両とみなす場合など事例はかなり多い。)
 7 再委託車両(他社への収集運搬再委託)
 8 排出事業者車両(排出事業者の車両による廃棄物の持ち込み)

未登録車両

 収集運搬車両は許可の対象となる施設ではないが、収集運搬業の許可を得ている自治体に届け出て登録する必要がある。未登録車両は届出義務違反であるが、行政処分の理由となることは少ない。自治体間で登録車両データベースを共有していないため、複数業者が重複登録してもわからないことが多い。新規許可、更新許可の際には、上記の区分の1か2、例外的に3までしか許可にならない。3以下、とくに4以下は未登録車両であることが大半である。

 未登録車両は運搬の現場をおさえないかぎり、発見することが難しい。それでも排出事業者にもできる範囲で、公開データや立入検査から疑わしい場合をチェックする方法がある。

1 車両回転数
 1日あたり収集運搬実績を運搬能力で除して求めた車両回転数(1日あたり出動数)は1.0回が標準である。これが1.5以上になることはまれであり、2.0以上はほとんどない。つまり、車両回転数が1.5以上になっている場合は、未登録車両による運搬実績があることを疑う理由になる。

2 平均在庫日数
 積替保管場の場合、在庫量を運搬能力で除して求めた平均在庫日数は1.0日が標準である。これが2.0以上になっている場合は、他社車両や未登録車両による持ち込みと持ち出しがあることを疑う理由になる。

3 車両ナンバーのデータベース化
 自治体が登録車両ナンバーのデータベースを共有し、公開すればいいのだが、それがすぐにできなくても、大手排出事業者が業界ごとに連携すれば、ある程度のデータベース化が可能である。
 登録車両データベースが公開されていれば、マニフェスト単位で未登録車両や重複登録車両のチェックが可能だ。ただし、手作業での確認は膨大な作業量になり、事実上不可能である。電子マニフェストに車両ナンバーを省略なしに記載することを義務付けておけば、登録車両データベースと自動照合するシステムを構築することができる。

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