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7-14 最終処分業(1)

チェック項目1 業態

 最終処分業の業態は、最終処分業単独、収集運搬業との兼業、収集運搬業・中間処分業との兼業の3つがある。ただし、単独の例は少ない。
 このほか、一般廃棄物最終処分業と産業廃棄物最終処分業の兼業という業態がある。

(1)収集運搬業との兼業のメリット
 最終処分場は、受け入れる廃棄物の品質によって、その後の管理が決まってしまう。埋立物の品質が悪いと、有害ガス発生、地下水汚染、地熱発生、火災、悪臭など、さまざまな問題を生じ、管理コストも高くなる。品目違反は許可取消し、業務停止、措置命令、改善命令などの行政処分の理由にもなる。
 最終処分業者が自ら収集運搬を行うことのメリットの1つは、埋立物の品質を入荷前に車両単位でチェックできることである。他社の車両による入荷では、事前のチェックは車両単位では行えない。また、入荷してしまってからの返品は、あまり頻繁に行えば契約解除になってしまう。

 メリットの2つ目は、営業上の理由である。最終処分場の料金は埋立料と収集運搬料の合計額である。埋立料は処分場の構造と立地によって相場がある。首都圏の管理型の場合はトン3万円前後である。収集運搬料の料金は運搬の重量と距離によって見積額が異なるので相場が曖昧である。したがって、最終処分場が競合している地域では、最終処分業者が収集運搬業を併せて受注することによって、埋立料を安めに設定し、収集運搬料で利益を出す営業戦略が可能になる。

 メリットの3つ目は、収集運搬業者の不正行為の防止である。最終処分場の管理が甘いと、収集運搬業者は積み合わせ(複数のダンプの荷を1台にまとめる)や積み増し(本来の荷の上に他社の荷を乗せる)などの不正行為を行う。ブレンドされた廃棄物はマニフェストがなく、品目違反があり、重量も大きくなる。こうした不正をさせないためには、入荷物の展開検査を厳しく行わなければならないが、自社収集運搬ならそのチェックが必要ない。

(2)中間処分業との兼業のメリット
 最終処分業と中間処分業の兼業は、いわゆる垂直的統合である。
 産廃処理が最終処分ありきだった時代には、最終処分先を安定的に確保できるかどうかが、中間処分場の営業の最大のボトルネックだった。
 中小規模の中間処分場なら小規模自社処分場を持つことができた時代もあったが、大規模な中間処分場の場合にはそうもいかなかった。
 そこで資金力のある中間処分場が最終処分場を建設したり、買収したり、資本参加したりした。これが下流型の統合である。

 1990年代後半から、最終処分場の新規設置が激減し、最終処分が売り手市場になったことから埋立費が高騰し、産廃処理のビジネスモデルは危機的状況になった。
 しかしこれは、リサイクルの進展の1つの契機ともなった。埋立費が高騰すれば、相対的にリサイクルの市場性が増すのである。
 最終処分場の新規設置が難しい状況はいまでも続いているため、最終処分業者は最終処分場の増設や拡張までの時間を稼ぐため、処分量を抑制して既設の最終処分場を延命する方法として、中間処分業を兼業するようになった。これが上流型の統合である。

 中間処分と最終処分の統合には、安定型統合と管理型統合がある。安定型統合とは、破砕・選別・圧縮系中間処分場と安定型最終処分場の統合であり、管理型統合とは、焼却・脱水・中和系中間処分場と管理型最終処分場の統合である。リサイクル施設との統合も増えている。

 中間処分場と最終処分場の統合が進むことにより、産廃業者の経営規模は拡大を続けている。
 おおまかな目安をいうと、産廃業界は、売上高10億円以下の収集運搬専業、売上高20億円以下のシンプルな中間処分場、売上高50億円程度の大規模な最終処分場、売上高100億円以上の総合処分場の4極に分かれつつある。総合処分場は中間処理・リサイクルを中心にして最終処分を組み合わせたところが多い。
 大きいところはさらに大きくなり、小さいところは徐々に整理されていくという業界再編が進んでいる。

(3)一般廃棄物最終処分業との兼業のメリット
 一般廃棄物最終処分場は、主として自治体が排出する一般廃棄物焼却施設の燃え殻を受け入れる処分場である。かつては自治体が自前で処分場を運営していたが、構造的に問題があることが多かったため、ダイオキシン問題を契機に整理され、現在は大半が委託処分されている。
 一廃の最終処分は産廃以上に売り手市場であり、随意契約であることも多いため、価格的に産廃よりも有利になることが多い。
 下水処理場から排出される脱水ケーキ(下水道汚泥)は、産廃に区分されているが、自治体が排出者なので、営業的には一廃と似た面がある。かつて下水道汚泥は最終処分が多かったが、現在は燃料化、ガス化、肥料化などで有効利用されることが増えてきている。

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