I-Method

7-17 最終処分業(4)

チェック項目4 管理

(1)計量方法
 最終処分場の廃棄物の計量方法には体積と重量がある。
 安定型最終処分場の場合には、体積表示で料金を設定しているところが多い。安定型に埋立てられる安定5品目のうち、主力の廃プラスチック類は、圧縮によって容易に体積を変えられるため、比重が一定しない。したがって、本来は重量で計測すべきなのだが、比重が小さいと料金を稼げない。そこで体積表示にしていると思われる。また、トラックスケールを備えていない小規模の処分場が多いことも一因だと考えられる。
 管理型最終場の場合には、重量表示で料金を設定しているところが多い。管理型に埋め立てられる汚泥、燃え殻、動植物性残渣などは、比重が大きいため、重量で計測したほうが有利なためと思われる。また、トラックスケールを備えている本格的な処分場が多いことも一因だと考えられる。

 排出事業者側からすると、重量表示のほうが計量用法として公平感がある。
 処分業者側からすると、体積表示ならトラックスケールがなくても、荷台の積載割合だけで判別できる。また、最終処分場は体積で容量設計されているので、体積表示で入荷管理したほうが直感的である。
 理想的な管理方法は、重量と体積の両方を計量することである。トラックスケールの天井に荷台を撮影するビデオカメラを設置しておけば、重量と体積を同時に計測できる。
 車両単位で比重を記録しておくと、通常と性状の異なる廃棄物が積載されたときに、比重の変化からチェックできることがある。

(2)入場車両
 不正な廃棄物の入荷を防止するため、入場車両を登録制にしている処分場がある。登録車両であれば、あらかじめ荷台の大きさを計測しておけるので、積載量(体積)を正確に計測できるメリットがある。
 登録車両制にしていない処分場では、名義貸しや虚偽マニフェストによって無契約業者の車両が入場してもわからない。

(3)展開検査
 入荷した廃棄物に品目違反、契約違反、マニフェスト記載違反がないかどうかは、車両単位で展開検査をしないとわからない。展開検査の方法は処分場ごとにまちまちなので、実際に見ておくとよい。
 展開検査で不正な廃棄物が発見されれば返品とすべきだが、返品の基準は、処分場ごとにまちまちである。一般的に、返品はあまり行われていない
 管理型処分場では展開検査と同時に消臭剤の散布など、悪臭対策を行っているところが多い。
 混入した不正な廃棄物(たとえば安定5品目に混入した木くずや紙くず)を、作業員が拾い集めたり、なかにはトロンメル(回転式選別機)を設置したりしている処分場がまれにある。これは違法であり、選別が必要な廃棄物はそもそも受け入れてはいけない。
 展開検査が甘ければ埋立物の性状が悪化し、汚染が蓄積すれば、有害ガス発生、火災、地下水汚染などのより深刻な問題を生じる。

(4)中間覆土
 中間覆土は法律に義務付けがないが、自治体ごとに許可条件として義務付けている。行政の立入検査では、掘削によって覆土厚を確認している。排出事業者の現地確認ではそこまではできないが、行政に提出した覆土時の写真があるはずである。
 覆土の土質については、山土、建設残土、改良土(石灰、ベントナイト、セメント、石膏などと混練して含水率を調整した残土や建設汚泥)がある。覆土に臭気がある場合は、有機物(食品系、下水道系の汚泥)の混入が疑われる。
 自治体によって覆土厚や土質の指導内容が異なるので、あらかじめ指導基準を確認しておくとよい。

(5)周辺道路への配慮
 周辺の道路状況や交通状況に応じて、自治体や自治会と搬入台数を制限する協定を締結している処分場が多いので、協定内容を確認すると同時に、協定の遵守状況も確認する。行政の検査では、周辺道路の破損状況もチェックしている。
 舗装を汚さないようにダンプのタイヤを洗浄することは当然である。

(6)地域住民への公開
 処分場の地域住民への公開は法的な義務付けがある。稼動中なのに門扉が閉まっており、場内の様子が見えない処分場はなにか問題があると疑うべきである。
 処分場は廃棄物の飛散や道路からの便乗投棄を防止するための高い塀で囲われており、道路から場内を見ることができないが、メッシュパネルや透明プラスチックパネルなどで、場内を覗けるように工夫した塀もある。

(7)マニフェストの管理方法
 法律的に搬入車両ごとにマニフェストを携行する義務はないが、後からまとめて送付し、まとめてスタンプを押すようなやり方は望ましくない。
 2010年改正法では、マニフェストの事後送付がようやく禁止された。(あらかじめ送付するか、同時送付となる。)
 マニフェストは荷札としての効用があるので、法律の規制がなくても、車両ごとに携行するのが望ましい。
 電子マニフェストはまだ普及率が低いが、いちおうチェック項目である。電マニを使用していても、紙マニに準じた伝票を併用していることが多い。収集運搬業も物流の一種であり、現物を運搬する以上、荷札なしの運搬というのは考えられない。この点、電マニでペーパーレス収集運搬ができるという制度設計は物流の常識に反している。
 最終処分場の処分は、一般的に搬入と同日に終了するので、マニフェストの処理終了日は搬入日でよい。この点は処理前保管を行う中間処分場とは異なる。ただし、まれに最終処分場でも検査待ちのために搬入物を保管することがある。

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