I-Method

7-15 最終処分業(2)

チェック項目2 構造と容量

 産業廃棄物の最終処分場は、構造的に安定型、管理型、遮断型に区分されている。構造の違いは、建設段階では造成費(投資額)の違いとなり、完成後は埋立品目の違い(料金の差別)に影響する。
 標準となる管理型最終処分場の造成費は1万立方メートルあたり1億円程度である。安定型は地形にもよるが、管理型の数分の1で造成できる。逆に遮断型は数倍かかる。
 安定型は運転コストがほとんどかからない。廃棄物をコンパクターで踏み潰してならし、覆土するだけでである。管理型は水処理施設の電気代、薬剤費、水質検査費が必要になる。遮断型は永久保管場と言い換えてもよく、無期限の管理コストがかかる。
 造成費や運転コストの違いは、当然料金の差になる。

 最終処分場の現地調査で最初に確認すべきことは、処分場の構造と容量である。

(1)安定型最終処分場の構造
 安定型最終処分場の構造でチェックすべきことは、次の項目である。
  1 遮水シートと水処理施設の有無(安定型でも管理型と同等の設備があることがある)
  2 雨水排水の調整池と流末(安定型でも雨水の放流が必要。流末の水質も確認する。)
  3 ガス抜き施設(安定型でも硫化水素、二酸化硫黄、塩化水素、メタン、一酸化炭素などの有害ガスが発生する。ガス抜き施設が多いほど埋立物の品質が悪かった証拠になる。)
  4 中間覆土の有無と覆土の品質(中間覆土は法律の義務付けはなく、自治体の許可条件として義務付けられている。覆土の品質も自治体によって指導が異なる。覆土に廃棄物や残土の改良土を使用している場合は、有機物や硫化物の混入(外見や臭気でわかる。有害ガスや熱を発生する原因になる。)、透水性(phがアルカリ性の改良土の場合、透水性が悪いことがある。覆土の透水性が悪いと堰堤から汚染水が漏水する原因になる。)のチェックが必要。)

(2)管理型処分場の構造
  1 遮水壁と水処理施設の構造(基礎の岩盤が不透水性の場合、遮水シートがない処分場もある。水処理施設は稼動状況、整備状況を確認する。なお、建設汚泥専用の管理型は、安定型とあまり変らない簡易な構造になっている場合がある。
  2 水質検査室(検査室の設備、人員を確認する。)
  3 調整池と流末(水質検査記録は当然確認するが、有害物質が流出していないか、目視でも確認する。)
  4 ガス抜き施設(管理型の場合、ガスの発生はやむをえない。ガス発生が多い場合は、対策が必要である。メタンや一酸化炭素が主体なら、燃焼すればよいが、塩素系、硫黄系のガスは処理が難しいので、場内に滞留しないように拡散させてしまっていることが多い。)
  5 臭気対策(管理型の場合、臭気がないということはまれである。臭気対策として脱臭剤、石灰、木酢などを散布していることが多い。)
  6 中間覆土の有無と覆土の品質(安定型と同じ)
  7 特殊な設備(屋内処分場、準屋内処分場では、換気設備や散水設備がある。メタンガスを有効利用している処分場もある。)
  8 閉鎖処分場(閉鎖処分場跡地の管理についても確認する。植林、公園、資材置き場、駐車場、積替保管場、中間処分・リサイクル施設、転売などの利用方法がある。地盤の強度に問題がなくても、大地震時の振幅までは予測していないことが多いので、工業用地や住宅地への転用・転売は望ましくない。閉鎖処分場跡地は、地下に汚染物質があるという前提で、土壌汚染対策法に準じた管理をすべきである。)

(3)遮断型処分場
 処理業許可を取得している遮断型処分場は少ないので、詳しくは論じない。遮断型は管理する廃棄物の品目とリスクに応じて構造が異なるが、一般的に管理型よりさらに厳密な化学的管理が必要になる。また、有害ガス管理、防災・防犯などについても、より厳密な管理が必要とされる。

先頭のページ 前のページ 次のページ 末尾のページ
I-Method Webセミナーへのへのご意見・ご提案・ご感想をお待ちしております。