I-Method

7-7 収集運搬業(1)

チェック項目1 業態

 産業廃棄物収集運搬業には、主として次の3つの業態がある。(4)、(5)は例外である。

 1 単独の収集運搬業(一般廃棄物収集運搬業、物流業、建設業などとの兼業もある。)
 2 積替保管場を有する収集運搬業
 3 処分業者が兼業する収集運搬業(または処分業者の子会社)
 (4) 車両を持たない収集運搬業(100%再委託ならありえる。)
 (5) 代理店(収集運搬業者や処分業者の紹介・仲介、契約代理、料金受納代理)

【チェックポイント】

1 単独収集運搬業
 収集運搬業の専業であるか、他の業種との兼業であるかをチェックする。他の業種との兼業であれば、その許可内容を確認する。とくに一般廃棄物収集運搬業、運送業、建設業、古物商の許可、リサイクル法の登録・指定などは必ず確認する。他法令違反(無許可営業など)があれば、収集運搬の委託も中止したほうがいい。

2 積替保管場収集運搬業
 積替保管場が主要施設(必ず経由している)か、付帯施設(まれに経由している)かをチェックする。一般的には運搬能力と保管能力を比較し、保管能力が運搬能力の1日分以上あれば主要施設と考える。運搬能力は重量、保管能力は体積で表示されているので、比較するには比重換算が必要である。比重の標準値としては、軽量物は0.2、重量物や液状物は1.0、混合物は0.7とする。保管能力が運搬能力の7日分以上ある場合は、過大保管能力である。

3 兼業収集運搬業
 自社あて運搬(自社の処分場への運搬)を、他社あて運搬(他社の処分場への運搬)の比率をチェックする。一般には収集運搬実績と処分実績を比較し、収集運搬実績のほうが多ければ、他社あて運搬があると判断する。自社あて運搬比率が高いほうが、流出のリスクは低い。他社あて運搬比率が高い場合には、振り替え(自社あての廃棄物を他社あてに無断で振り替えること。再委託違反である)や中抜き(他社処分料のピンハネ)がないかチェックする。

(4) 無車両収集運搬業 収集運搬の再委託については、自治体によって解釈が異なり、全面禁止、1回限り容認、無制限に容認(黙認)の3ケースがある。再委託が容認されている自治体では、無車両収集運搬業が可能になるが、望ましい業態であるとはいえない。完全な無車両収集運搬業者はかなり珍しいが、10台の車両しかないのに100台分の営業を行うこと(90台分は再委託)は、それほど珍しくない。再委託1回容認の東京都では、むしろこれが普通の業態になっている。

(5) 代理店営業
 収集運搬業の許可がない業者が、商社行為(紹介・仲介、契約代理、料金受納代理)を行うことがある。無許可業者が契約当事者となれば受託禁止違反だが、収集運搬委託契約書やマニフェストには社名を出さないで、別に仲介契約(料金代理受納契約)を締結する二重契約(脱法行為)であることが多い。仲介手数料は20%程度(収集運搬費のみ場合)から60%程度(処分費を含む場合)と、きわめて高率である。
 業務仲介は、リベートやキックバック(いずれも脱税所得)の温床となっており、古参の営業職幹部が会社に内緒でキックバックをもらう背任行為も珍しくない。産業廃棄物処理料金を不透明なものにしている高率の中抜きを伴う仲介行為は、産廃業界の悪習として整理し、透明性のあるコンサルタント業務(マッチング業務)に転換していくべきである。

先頭のページ 前のページ 次のページ 末尾のページ
I-Method Webセミナーへのへのご意見・ご提案・ご感想をお待ちしております。