I-Method

7-16 最終処分業(3)

チェック項目3 品目と品質

 最終処分場の構造は大まかには3つの区分になっているが、受け入れる品目と品質には施設ごとに差がある。

(1)安定型処分場の問題
 厳密に安定5品目(廃プラスチック類、金属くず、がれき類、ガラスくず及び陶磁器くず、ゴムくず)に限定されているかどうかを検査したら、おそらく生き残れる安定型はない。
 そのため、従来から安定型廃止論(禁止論)が根強くある。また、処分場設置許可取り消訴訟において、安定5品目は守れないという理由で許可が取消された地裁判例もある。
 ほとんどの安定型には遮水シートも水処理施設もないので、埋立物に汚染があると、そのまま地下へと浸出し、地下水を汚染する恐れがある。したがって、他の処分場よりも厳密な埋立物の品質管理が必要なのだが、実際には管理はかなりルーズである。

 埋立物の品質をどの程度まで管理するかについて、基準は明確である。法的には安定5品目以外が0.1%でも違法である。しかし、これは実務的ではないので、いちおう5%基準というものがある。これは有機物の混入割合が重量比で5%までは許容しようという、かなりアバウトな基準である。有機物は加熱すると酸化して、二酸化炭素、二酸化窒素、水となるので、有機物が5%かどうかの判定は熱釈減量で測定する。しかし、この方法は時間も手間もかかる。さらに埋立物の品質は一定しないため、サンプルによって値が異なってしまう。
 目安としては、目視で木くず、紙くず、有機物が付着している廃プラスチック類が容易に確認できる状態であれば、有機物の混入割合は5%以上と判断してほぼ間違いない。
 行政の立ち入りでは、一定重量のサンプルを採取し、ピンセットを使って小さな破片を一点一点選別して品目構成を特定してる。さらに、熱釈減量、塩素や硫黄などの定量分析も行う。排出事業者が現地確認を行う場合には、目視での確認でも十分である。

(2)管理型処分場の問題
 管理型処分場は、埋立物を通過する雨水(または散布水)が徐々に廃棄物の汚染を洗い流すことによって、いずれは無害化されるというロジックで作られている。
 ただし、無害化するまでに何年かかるか予想することは困難である。欧米では無害化するとしないとにかかわらず管理期間を100年と定めている国もある。日本では、処理原水が排出基準を二年連続して下回れば処分場を閉鎖し、水処理を終了してもよいことになっているが、この基準には異論もある。
 埋立物の汚染度が高ければ、処理原水の汚染度も高くなる。汚染物質の物理的な性状(液状、粒状、粉状など)によって汚染源の溶出速度が違うので、処理原水の汚染度が低いからといって早く無害化するとは限らない。
 最終処分場は大気汚染防止法の適用される施設ではないが、多量の有害ガスを発生すれば、大気の汚染源ともなりえる。さらに廃棄物中のさまざまな物質が化学反応して、新たな化学物質が生成されることもある。
 有害ガスを発生したり、化学変化を起こしたりするするような廃棄物はたとえ管理型であっても、埋め立て処分するべきではない。

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