I-Method

7-9 収集運搬業(3)

チェック項目3 積替保管場

 積替保管場の保管能力は、許可証に記載され、公開情報にも載っている。しかし、実際の保管場が許可証の記載どおりとは限らない。
 したがって、現地調査では、なによりもまず保管場が許可証の記載どおりの場所、品目、容積、表示となっているかをチェックしなければならない。行政の立入検査では、許可申請書に添付された平面図と照合しながら検査するが、排出事業者の現地確認でも、可能な限り平面図を入手するとよい。
 よくある違反は、無許可保管場、許可品目違反、未分別保管、未表示、無許可処理施設である。無許可処理施設としては、移動式クラッシャー、小型焼却炉、バックフォー(切断機や破砕機がついたもの)、ベルトコンベヤ(選別用)である。
 保管能力をチェックしたら、実際の保管量を測定する。在庫記録があればそれを使うが、なければ目分量でかまわない。目分量の方法は前にも紹介したが、底面積×高さ÷2で近似すればいい。
 保管能力、保管量、運搬能力から、在庫率と平均在庫日数を計算することができる。排出事業者としては、在庫率も平均在庫日数も小さいほうが望ましい。在庫が多いと、不正ルートへの流出の原因となりやすい。

チェック項目4 書類

 収集運搬業者の立ち入り検査でチェックしたほうがいい書類は、次のリストのとおりである。

 収集運搬業許可証の原本(写しは不可)
 車両一覧表
 運転職員一覧表 
 全車両の車検証(リース車両や借り上げ車両は契約書)
 全運転職員の免許証
 車庫の権利を証明する書類
 配車表、運転日誌、タコグラフ、車両整備記録
 積替保管場平面図
 積替保管場出入庫簿、在庫台帳
 主たる運搬先処分場のリスト
 営業ナンバーを有する場合は運送業関係書類
 ISOや自治体の認証・認定を有する場合はその関係書類

チェック項目5 管理方法

 配車方法では、定期回収(ミルクラン)とスポット収集の別を確認する。
 料金では、料金計算方法を確認する。タリフ(トンキロ料金表)が望ましい。
 環境整備では、車両、車庫、積替保管場、事務所、職員の清潔感を確認する。

チェック項目6 トレーサビリティ

 電子マニフェスト、GPS車両位置情報、ICタグ(バーコード、QRコード)などによるITトレーサビリティはあったほうがないよりはいいが、決定的なものではない。
 ITトレーサビリティで確認できない収集運搬の不正行為には次のようなものがある。

1 無登録車両運搬や再委託運搬 車両自体の違反はトレーサビリティで管理できない。
2 無許可積替え たとえば3台のダンプを2台にまとめ、空になった1台は別の荷を積む不正行為である。
3 積み合わせ マニフェストのない廃棄物を後から積み増す不正行為である。運搬先の処分場で再計量していなければ、重量が増えても発覚しない。
4 分割 1台のダンプで複数のマニフェストを交付しておき、マニフェストのない車両に配布する不正行為である。
5 抜き取り 有価物を抜き取る行為である。家電系、金属系、古紙系、売れるものはなんでも抜かれる。
6 貼り直し ICタグなどを他の容器に張り直す不正行為である。家電リサイクル券の貼り直しは頻繁に行われている。
7 空伝 運搬先処分場と結託すれば、電子マニフェストであってもICタグであっても、端末操作による空マニフェストが可能である。
8 処分場からの流出 処分場到着後の流出はトレーサビリティではチェックできない。

 このように、トレーサビリティの裏をかく手口はいくらでもある。トレーサビリティを万能と考えず、現地確認ツールの1つと割り切るべきである。 
 
総括

チェック項目
チェック内容
1 業態 単独 保積あり 処分業兼業 再委託あり 仲介者あり
一廃収運 運送業 建設業 古物商 リサイクル業
保管能力・運搬能力比率
再委託比率
自社処分場あて運搬比率
中抜き比率(仲介料)
2 車両 自社 リース 借上 名義借り その他
車両回転数
自社車両運搬比率
車両ナンバーデータベース
3 積替保管場 保管場所 品目 容積 表示
無許可処理施設
分別保管の状況
他社持込み、他社持出しの状況
在庫率
平均在庫日数
4 書類 許可証 平面図
車両一覧表 運転職員一覧表
車検証 リース・借上契約書 車庫契約書
配車表 運転日誌 タコグラフ 車両整備記録
出入庫簿、在庫台帳
運搬先リスト
運送業関係書類
優良性認証書類
5 管理方法 配車方法
料金計算方法 タリフの有無
環境整備
6 トレーサビリティ 電子マニフェスト GPS ICタグ(バーコード QRコード)

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