8-9 食品リサイクル
1 食品リサイクル法の対象と特例
食品加工業、食品小売業、飲食店からの事業系食品廃棄物が対象となるリサイクル法で、家庭系食品廃棄物は対象とならない。事業系廃棄物であっても、廃棄物処理法上の動植物製残渣には業種指定があるため、小売店の売れ残りや飲食店の厨房くず、食べ残しなどは、一般廃棄物になる。
食品リサイクル法もまた、廃棄物処理法の特別法と考えられており、食品系廃棄物を処理するには、一般廃棄物と産業廃棄物の処理業の許可が必要である。ただし、一般廃棄物収集運搬業については、特例があり、許可が不要とされる場合がある。これは一般廃棄物収集運搬業の許可が、事業者の所在する市町村からしか得られないことが多いため、他の市町村で収集運搬する場合に、事業者が所在する市町村の許可だけで足りるとしたものである。
2 再生利用等利用率
食品リサイクル法による再生利用等利用率の規制値は業者によって違っており、20〜80%まで幅がある。また毎年目標が上乗せされる仕組みで、50%に達するまでは毎年2%、50〜80%までは毎年1%目標が上乗せされる。
また、再生利用等利用率の計算には、いわゆるマテリアルリサイクルのほかに、サーマルリサイクル、減量化、さらに排出抑制まで含まれる。
これは食品廃棄物が含水率が高いための措置である。したがって、再生利用等利用率といっても、実際には脱水や乾燥による減量化率が大きい。脱水施設を備えている食品加工業者の再生利用等利用率が高いのはこのためである。
再生利用等利用率の基準年は平成19年であるため、平成19年までに脱水施設などの減量化施設を設置していなかった業者は脱水施設を設置するだけで、容易に目標を達成できる。
また、含水率が80%以上の廃棄物であれば、脱水施設によって、基準上限の80%は簡単に達成できる。
3 実質的な評価
減量化率や排出抑制率も含まれている再生利用等利用率を見ても、食品リサイクルのよしあしはわからない。守れる規制しかしない農水省ならではの現状追認法(ザル法)である。
食品廃棄物の特徴は、第一に有機物であること、第二に重量物であること、第三に多様性があることである。有機物は腐敗して悪臭や害虫を発生しやすいので、管理方法や管理期間が重要である。また、重量物であるため、長距離輸送をすると燃料使用量や二酸化炭素排出量が多くなる。
したがってできるだけ近距離で運び、短期間で処理することが望ましい。長期保管や大量保管はご法度である。再生利用等利用率よりも、こっちのほうが重要である。
食品廃棄物の多様性は、組成の違い(含水率、炭素含有率、塩素含有率など)、容器包装の有無(お弁当や惣菜は容器包装の分離が必要)から、ある程度区分できる。
食品リサイクルの代表的なものには、飼料化(リキッドフィーディング、乾燥飼料、ペットフード)、肥料化(特殊肥料、堆肥)、ガス化(バイオガス燃料)、固形燃料化などがある。
含水率の高い食品廃棄物は、脱水や乾燥、運搬にエネルギーを要するので、エネルギー収支を比較すると、他の廃棄物よりも不利であり、エネルギー収支マイナスのリサイクルが多いが、この点は大目に見るべきである。最終処分や単純焼却に比べて、いくらかでも有利性があるなら、評価しなければならない。
こうした観点から、もっとも適正な食品廃棄物のリサイクル方法は、排出業者ごとに、さらに排出場所ごとに違ってくるので、きめ細かな計画が必要である。
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