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8-5 容器包装(2)


2 ペットボトル

 容器包装リサイクル法の対象となるのは市町村が集めいている家庭ごみなので、廃棄物処理法の一般廃棄物処理と競合している。
 主たるリサイクル対象品目は、ペットボトル、その他のプラスチック容器包装、紙製容器包装、くず、ガラス瓶の3つだと考えていい。
 ペットボトルは欧米では洗浄して使用するリターナルもあるが、日本では衛生管理の不安や見た目の透明度が落ちるなどの問題からリターナルは行われず、フレークやペレットに加工する材料リサイクルが主流である。化学的に分解・再合成する技術も確立している。
 選別が簡単で、キャップ、ラベル、本体の3つに分離すれば、ほぼ単品目として扱えるため、材料サイクルの技術が急速に進展した。現在はエネルギー収支面でも、バージン資源よりやや有利なところまで来ている。ただし、この収支計算には批判的な学者もいる。ペットボトルはかさばるので運搬のためのエネルギーがかさみ、コストも高い。消費者が飲み終えてからリサイクル工場に到着するまでのエネルギーやコストまでは収支計算に入っていないようである。
 ペットボトルの再生技術が、品質面でも価格面でもバージン資源と競合できる水準になったため、一時は再生料と販売収入のダブルインカムの施設として、高収益率を誇った。しかし、参入業者が増えたために、入札価格の談合が不可能になり、原油価格の上昇に連動してリサイクル料金が低下し、有償買取となったため、リサイクル工場の採算性は大きく低下した。さらに中国向け輸出に玉を奪われたために、操業中止に追い込まれる工場が相次いだ。
 リーマンショック前後の原油価格急落で、廃ペットボトル入札価格も一瞬ゼロになったが、現在はまた有償買取に戻っている。
 国内の再生PETフレークの最終製品の主流は卵パックとポリエステル繊維である。再合成リサイクルではボトルtoボトルも一時期実現していた。
 輸出されたPETは、ぬいぐるみの中綿、カーペット類、家庭用雑貨などに加工されるものが多いと聞いている。

3 ミックスプラ

 ペットボトル以外のプラスチック系容器包装は「その他プラスチック」として一括されている。理想的には、洗浄してポリスチレン(PP)、ポリプロピレン(PE)、塩化ビニルなどの単品に分別すれば、高品質の材料リサイクルが可能であり、輸出の場合もPETと遜色のない価格がついている(塩ビはやや安い)。だが、国内で単品に選別するコストが莫大であるため、発泡スチロール(EPS)製食品トレイなど一部を除いてほとんど単品分別は行われておらず、混合状態で再利用されている。
 ミックスプラの再利用方法は、擬木、パレット(フォークリフトで運搬するための台座)などのマテリアルリサイクルが優先(入札上の有利措置がある)されており、これに高炉原料化(ケミカルリサイクル)が次いでいる。RPF化は、食品残渣やラップ類の塩素が普及の障害となっている
 今後のミックスプラの材料リサイクルでは、木質系廃棄物と混合した再生木材化が有望で、木材よりも耐候性にすぐれているため、デッキや遊歩道などで木材を代替するようになってきている。南洋材の輸入抑制など、森林保護の面でも注目されている。塩素除去技術が確立すれば、PRFへの容器包装プラスチックの利用も進展する見込みがある。

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