I-Method

8-7 容器包装(4)


6 有色ガラス瓶

 ガラス瓶はリターナル便として再利用することのメリットは大きいが、ビール瓶、牛乳瓶など、従来からのものを除くと、リターナルは進展していない。瓶は重いので飲料の輸送コストが高くつき、物流コストと物流の二酸化炭素排出量を下げるにはペットボトルのほうがいいという意見はかなり根拠がある。さらに検査、消毒、洗浄のためのコストもムダだという意見、洗浄水の排水が汚染源だという意見もある。今のところ、瓶に入った飲料のほうが美味しく感じるユーザーが多く(科学的な根拠はない)、ガラス瓶は当面廃れそうにない。
 国内飲料メーカーの中には、ガラス瓶すべてのリターナルに取り組んでいるところもあるが、あまり進展しているとはいない。茶系瓶と透明瓶以外は、ガラスの品質がそろわないので、リターナルも材料リサイクルもできないとされている。輸入ワインや輸入ウィスキーのボトルは回収するメーカーがない。
 ガラス瓶の原料は安いので、使用済みガラス瓶をカレットに粉砕してから瓶に再生するメリットはほとんどない。このため、カレットにされた瓶は、そのまま再利用されるが、用途は限られている。
 ガラスカレットは透水性が高いので、土壌や路盤の脱水に使われることが多い。保水力を利用して中小河川流域の洪水調整に用いられることもある。しかし、こうした利用法が技術的に完成しているとまでは言えない。ガラスそのものに透水性はないから、隙間に充填された土砂が透水性を失えば、ガラスカレットの透水性も損なわれる。用途のない大量のガラスカレットは長期保管されている。

7 法の課題

 容器包装リサイクル法は、先進国であったドイツ法をモデルにした面が多く、日本の伝統的な制度(行政が価格を認可する公定価格制度)とはかなり違っており、いわば実験的な法になっている。
 その最大の特徴は、入札によってリサイクル料金が決まることである。制度設計時には想定していなかったマイナス価格入札(有償買取)を受け入れたことは果断だった。入札にはつきものの談合も当初は目立ったが、入札参加業者が増え、資源価格が乱高下する過程で自然に解消してきている。落札価格の推移を見れば、談合がある品目とない品目の差は歴然としている。談合がなければ、リサイクル料金は国際資源価格すなわち輸出価格との連動性がある。
 入札が年一回のため、入札参加業者の経営が不安定になるというデメリットはかねてから指摘されている。入札を数回に分けたり、地域別に実施したりする工夫が必要である。また、商社など直接処理しない業者による入札参加、落札業者間の権利の売買、将来的には先物取引も経営安定のために認めるべきである。これらの入札改革を実施しなければ、経営安定のためには談合(業者間のシェアリング)しかなくなる。
 国内リサイクルが義務付けられていないため、自治体が集めた容器包装が輸出されることを許容している点も、大きな特徴である。国内リサイクルを空洞化させないために、有償買取となった場合には自治体に剰余金を還付する制度も運用している。国内リサイクルを優位にする補助金はない。
 容器包装リサイクル法は、リサイクル法の中で特異な法であるが、国際的な標準という点では、むしろ普通の法であり、他の法が特殊である。そのため、容器包装リサイクルシステムは輸出も含めた国際的なシステムとして発展している。他の法によるリサイクルが国内で閉じていたり、脱法的に輸出されていたりするのとは違う。
 その国際性を生かしていけるかどうかは、日本経済の新しい方向を見つけていくための1つの試金石になるような気がしている。

先頭のページ 前のページ 次のページ 末尾のページ
I-Method Webセミナーへのへのご意見・ご提案・ご感想をお待ちしております。