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8-6 容器包装(3)


4 リサイクル率

 材料リサイクルは、残渣率が49%まで認められている。かつては残渣は最終処分が認められていたが、現在はそのまま最終処分することは禁止され、熱回収が可能な焼却が主流になっいてる。
 排出側はリサイクルルートに乗せたから100%リサイクルされたとカウントしている場合もあるが、実際には100%リサイクルされてはいない。さまざまなリサイクル手法を組み合わせてトータルでの再利用率を上げる工夫が必要であり、排出側もトータルでのリサイクル率をモニターすべきである。
 一次的にコンパネ(建設現場用パネル)やパレットに再生し、使用期限後に回収して二次的に高炉原料化する多段階リサイクルでは、リサイクル率を単純合計すると100%を超えてしまう場合もある。
 こうした問題を回避するには、材料リサイクルでは歩留まり率、サーマルリサイクルでは熱効率を加味したリサイクル率の評価が必要である。

 リサイクル率 = (材料リサイクル量 × 歩留まり率 + 熱源リサイクル量 × 熱効率石油比) / 再生前資源量 × 100

 熱効率石油比 = リサイクル燃料熱効率 / 石油ボイラー熱効率

 石油ボイラー熱効率は40%と仮定すればよい。サーマルリサイクル炉の熱効率は、補助基準では20%以上とされているので、わからなければ20%と仮定すればよい。
 なお、PPFは7000〜8000キロカロリーに熱量がコントロールされているので、熱量としては石炭またはコークスと等価と考えてよい。一方、価格は石炭の3分の1以下であるため、熱量あたり価格は小さい。さらに石炭の燃料価格は石油の3分の1と言われる。したがって、RPFの熱量あたり価格は、おおよそ石油の10分の1と評価できる。ただし、輸送、炉の築造、炉の運転、排ガス処理などのコストは石油よりも高い。

5 紙製容器包装

 古紙は昔からリサイクルの優等生だった。平安時代に再生されていたという記録もあるそうだ。裏紙の利用は今も昔も常識で、読み終えた本は「襖の下貼り」として利用されてきた。
 紙製容器包装は良質のものは古紙原料になるが、ミックスペーパー(プラスチック、コーティング紙、金属、食品残渣などが混入した紙くず)は、RPF原料などにされている。
 ミックスペーパーの利用価値が低いため、紙製容器包装リサイクルは有償だったが、2010年の入札ではじめて買い取りとなった。これは価格高騰によるものではなく、むしろリーマンショック後の価格低下で輸出業者による買占めが進んだため、国内リサイクル業者が玉不足に陥り、入札談合が不可能になったことが一因と考えられる。PETと似た状況であると考えられ、今後国内リサイクルの空洞化が心配される。

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