2I-Method

5-10 二次解析1


 本節以下の分析は、2004年に環境省の産廃処理業優良化推進事業がスタートした際、はじめて地方自治体から優良性認証を受けた最初の50社(ファースト50社)の公開データを分析し、当時すでに公表しているものである。分析表の情報数とは、ファースト50の公開データのうち、分析に利用できた情報数を表している。
 筆者は、このほかに、2008年公開データによる首都圏の産業廃棄物協会理事80社分析なども公表実施したことがあるが、このセミナーではファースト50社の解析結果を解析例として解説していく。
 解析データ数が少ないこと、分析年度が古いことから、現在の業界の標準を表しているものではない点、注意を要する。
 今後分析データが蓄積されていけば、さらに精密な解析が可能になることは言うまでもない。



施設稼働率の傾向

分析項目
情報数
平均値
標準値
収集運搬車両回転数
45
0.54回/日・台
0.5〜2.0/日・台
中間処理施設稼働率
41
37.1%
50〜150%
最終処分場残余年数
2
22.5年
5年以上

 収集運搬車両回転数は1日約0.5回と、まずまずの結果になっている。積載効率を1.0と仮定しているので、逆に積載効率0.5で回転数が1.0回という読み方も可能である。
 中間処理施設稼働率は、やや低く出ている。破砕施設が多いと、この値は小さくなる傾向がある。
 最終処分場はファースト50社のうち、2社しかなかったが、平均は5年を大きく上回っていた。


平均単価の傾向

分析項目
情報数
平均値
標準値
収集運搬or処分
32
59,864円/t
15,000〜60,000円/t
収集運搬and処分
32
32,501円/t
15,000〜60,000円/t

 ORとは、収集運搬と処分の実績を重複カウントせず、どちらか多いほうの実績で売上高を割った平均単価、ANDとは、重複カウントした平均単価である。
 売上高に産廃処理以外の売上高が含まれていることを考慮していないので、計算された平均値は、高めに出ていると考えられる。
 ANDがORの半額になるのは当然の結果である。


労働生産性の傾向

分析項目
情報数
平均値
標準値
処分実績ベース
38
749t/年・人
500〜1,000/年・人
収集運搬・処分実績ベース
45
1,240t/年・人
1,000〜2,000/年・人
売上高実績ベース
29
2,588万円/年・人
2,000〜3,000万円/年・人

 処分実績を従業員数で割った労働生産性は、年間約750トン、1日あたりでは約3トンとなった。
 収集運搬と処分の実績を重複カウントした場合は、1日あたりでは約5トンとなった。
 売上高ベースの労働生産性は、産廃処理以外の売上高を除外しなくても大きな誤差とはならないので、約2,500万円と標準的な結果となった。


売上高オーバーフロー率の傾向

分析項目
情報数
平均値
標準値
中間処理ベース 29 116.8% 50〜150%
収集運搬・中間処理ベース 31 89.5 50〜150%

 中間処理の能力から求めた売上高オーバーフロー率は、100%をやや上回った。収集運搬能力を考慮して修正すると、100%をやや下回った。

 以上のように、結果としてはファースト50社の解析結果は、ほぼ業界の標準値を現すものとなった。

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