I-Method

5-6 施設稼働率

中間処理施設稼働率

記号
項目
数値
数式
a
年間処理実績
53,866.3t
公開データ
b
稼働日数
300
仮定
c
一日平均処理実績
179.6t
a/b
d
処理能力
385.1t
許可証等
e
施設稼働率
46.6%
c/d×100

 これから、実際の公開データに基づいた分析例を解説していく。
 中間処理施設稼働率は、公開データの「処理の状況」の中間処理の年間処理実績から計算する。
 稼働日数は公開データがないが、日曜・祭日を休業日とすれば、年間270日程度である。ここでは単純化するために、300日と仮定している。
 一日平均処理実績は、説明するまでもない。
 処理能力は、公開データの許可証から求める。複合施設については、施設と処理の状況から、ラインの構成を推定する必要がある。詳細は、すでに5−4節で説明したとおりである。
 上記計算例では、施設稼働率は約50%となった。施設稼働率は50〜100%が適正値である。ただし、許可証の処理能力に科学的厳密性がないので、この適正値にあまり厳密にこだわる必要はない。25%以下、あるいは150%以上については、原因を究明する必要があるかもしれない。

最終処分場残余年数

記号
項目
数値
数式
f
残存容量
585,900立米
公開データ
g
年間処理実績
34,725t
公開データ
h
比重換算
49,607立米
g/0.7
i
残余年数
11.8年
f/h

 最終処分場の残存容量は、「維持管理記録」として公開されている。残存容量は、設計容量から埋立済容量を減産して求めることができず、時点ごとに測量して求めるしかない。
 計算で求められない主な理由は、次の3点である。
 (1)容量は体積、処分量は重量で計算されており、比重換算が必要。
 (2)中間覆土による容量の割引がある。(千葉県では2mごとに0.5mの覆土)
 (3)コンパクター等による圧密、乾燥による収縮などで体積が変化する。
 比重換算値は、処分場ごとの実測平均値を用いるのが厳密だが、公開データがないので、0.7と仮定することを推奨する。ちなみに、環境省が発表している残余年数推計では、比重を1.0と仮定している。つまり、容積を重量で割っている。
 残余年数とは、現在のペースで埋め立てた場合の最終処分場の寿命であるが、上記の計算式では、中間覆土や圧密の効果を考慮していない。
 中間覆土の影響で容量が20%割り引かれ、圧密で体積が30%圧縮するとすれば、iの算式は次のように修正される。
 i = f×0.8 / h×0.7

収集運搬車両回転数

記号
項目
数値
数式
j
年間処理実績
12,779.3t
公開データ
k
総運搬能力
137.2t
公開データ
l
車両回転数
0.31回
j/k/b

 収集運搬の分析は、実は奥が深い分野であるが、その分析の醍醐味は、プロフェッショナルバージョンを紹介するまで、待っていただかなくてはならない。ベーシックバージョンでは、車両回転数を分析するだけにとどめている。
 車両回転数とは、車両一台が一日あたり何回出動するかという数値である。回転数は、巡回回収をしていれば小さくなり、スポット回収や拠点間運搬をしていれば多くなるので、一概に回転数が多ければいいとは言えない。
 上記lの計算式では、積載効率を1.0、つまりつねに満載で運搬していると仮定している。積載効率αを考慮するなら、lの算式はつぎのように修正される。
 l = j / k×α / b
 巡回回収の場合の積載効率は0.5程度、拠点間運搬の場合には1.0程度であることが一般的である。

 収集運搬には単純運搬のほかに、積替保管がある。産廃処理業にとってもっとも特徴的な業態である積替保管の分析も、プロフェッショナルバージョンを紹介するまで、待っていただくことになる。

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