I-Method

5-1 IM−Bとは


 IM−B(Iメソッド・ベーシックバージョン)は、環境省の産廃処理業優良化推進事業に準拠して産廃情報ネットから公開されている情報を分析することに特化したシステムである。
 IM−Bは公開情報だけを用いて、産廃処理業者の優良性を診断する。これが、すべての会計情報を利用するIM−CやIM−Pとの違いでる。利用する情報が限定されていることは、IM−Bの限界ではなく、むしろ汎用性を獲得するための最大の武器である。公開情報は優良性分析にとって必要十分な情報が網羅されており、その分析の可能性には限界がない。

 自治体の優良性認証では、外形的に公開必須情報がすべて公開されていることを診断基準としている。要するに情報が公開されていればいいのであって、公開情報の内容には踏み込まない。
 これに対して、IM−Bは公開情報の内容を診断するメソッドである。その診断基準は突き詰めれば、次の一行の公理に要約できる。

 公開情報優良性診断公理 公開情報に説明のできない矛盾がない

 こんな単純な診断公理だけで優良性を診断できるのかと疑問に思う人もいるかもしれない。
 しかし、およそ経営情報の分析というものはそういうものだし、物理学や化学の検証だって、考え方は実は同じだ。
 国税庁が査察を行うときの着眼点は、会計書類に説明できない矛盾がないかどうかを見るということに尽きる。説明できない矛盾は、簿外の取引、あるいは資産や負債が隠されており、ひいては二重帳簿があることを示唆している。まったく無矛盾に帳簿を改ざんすることは難しく、かならず矛盾の原因をつきとめることができる。それが数百年間、ずっと商業を支えてきた複式簿記の智恵なのだ。
 物理学の仮説を検証するための実験も同じで、仮説から導かれる理論的な帰結と実験データの間に、説明のできない矛盾がないかどうかを検証している。数兆円もするスーパートロンを使う実験物理学が目指しているものも、つきつめれば理論と実験データの間の無矛盾の検証だ。もしも矛盾が発見されれば、仮説は否定され、矛盾を説明できる新たな理論が必要になる。新たな理論が矛盾を説明できれば、それはもう矛盾ではなくなる。


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