I-Method

10 始まりの終わり


 iMethodセミナーはiM−G(ガバナンスバージョン)の講義の終了をもって一区切りとします。
 ウィンストン・チャーチルが第二次世界大戦の終戦時に語ったとされる有名な言葉、「今は終わりではない。これは終わりの始まりでさえもない。しかし、これはきっと始まりの終わりである」にならって、これはiMethodの始まりの終わりであると宣言したいと思います。

 iMethodは、もともと私が産廃Gメンだったときに、産廃業者が不法投棄に関与していたことを帳簿から突き止めるために開発した査察手法でした。
 iMethodはその後、優良産廃業者を選定する手法として発展し、環境省の産業廃棄物処理優良化推進事業による情報公開と自治体による優良性評価が始まってからは、公開情報分析手法として普及を計ってきました。
 2010年の廃棄物処理法改正(2011年4月施行)により、優良業者の要件を満たしている業者の許可期限が7年に延長されることになりました。改正法施行により、許可権限を有する自治体による優良性評価が本格的に実施されることは、公開情報分析手法としてのiMethodが役割を終えることを意味するのではなく、むしろその真価がいよいよ発揮される時期が到来すると歓迎しています。

 本稿の終了によって、iMethodは理論構築段階を終えますが、それは本格的な実証段階に移行することを意味します。だからこれは始まりの終わりなのです。本稿は終わりますが、iMethodは終わりません。これからはiMethodの普及に注力し、実践の中でさらに精緻な分析メソッドとして磨きをかけていきたいと思っています。
 iMethodは、廃棄物処理業の分析に特化した他に類例のない業務・財務分析メソッドですが、既存の財務会計分析手法、ISOなどによる環境マネジメント認証、さまざまな企業が取り組まれている廃棄物処理業者データベースと競合するものではなく、むしろそれらの手法との相乗効果によって廃棄物処理業者と業界の優良化をはかっていくことができるものと考えています。
 これからのiMethodは、単独のメソッドではなく、これらのメソッドと組み合わせた複合的なメソッドとして発展させていきたいと考えており、そのための仕組みづくりとして、優良業者ネットワークの構築、チームの組織化、排出事業者やコンサル業者への情報配信を視野に入れた活動をすでに開始したところです。

 iMethodの原型が誕生したとき、その目的は不正業者の摘発でしたが、現在のiMethodの目的は優良業者の支援とネットワーク化です。いま、iMethodが目指しているのは情報公開をベースとした優良業者のネットワークの構築であり、iMethodはその役割を担えると確信していますし、そのための改善をさらに続けていこうと思っています。株式市場や証券市場が成立するために、企業の情報公開と情報の評価システムが不可分・不可欠であるように、優良業者ネットワークの構築にとっても情報公開とその評価システムが絶対に必要であり、情報が公開されていないネットワークには信頼性と拡張性がないと考えています。
 この取り組みは、不正業者が完全に排除され、不法投棄ゼロが完全に達成されるまで止むことはありません。それがミスター産廃Gメンと呼んでいただくようになってからの私の天命と覚悟しています。
 このセミナーが実践編もしくは実証編として必ず再開されることを、このセミナーに最終回までお付き合いいただいた皆様にお約束します。
 どうかiMethodのこれからの展開にぜひとも注目され、またご支援していただきますよう、よろしくお願いします。(了)

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