I-Method

9-3 優良制評価

環境省の優良性評価制度(産業廃棄物処理業優良化推進事業)

 環境省は廃棄物処理業界を優良化するため、2004年から産業廃棄物処理業優良化推進事業をスタートさせた。これは処理業界の人材育成、エコアクション21の処理業界での活用、電子マニフェストの普及など、いくつものメニューを総合した事業であり、それぞれが同時並行で進められている。他の事業には特定の事業主体があり、民間参入も可能であるのに対して、優良性評価制度は処理業の許可権限を有する地方自治体が独占的な担い手となっているため、環境省の直接的な関与が続いている。
 環境省が当初考えた普及策は、許可更新申請書類の一部免除と、許可証への優良性認定の記載、インターネットでの公表であったが、これはいずれもあまり大きなアドバンテージにならなかった。それでも環境省は、この制度の普及をあきらめてはいないようで、2010年法改正(2011年4月施行予定)にあわせて、優良性認定業者の許可期限延長や現地確認義務免除などの普及策を検討している。とくに許可期限延長は、処理業者にとってインパクトの大きい施策となりそうである。しかし、地方自治体による優良性評価制度の運用レベルは一様とは言えず、そこまでの恩典を一律に与えていいかは疑問である。
 Iメソッドフォーラムが全国の優良性認定業者の公開情報をIメソッドによって検証したところ、環境省準拠制度を実施している地方自治体で、基本4情報(評価に値する最低限度の情報)を公開していた業者は48.3%、独自制度を実施している東京都ではわずか12.5%だった。独自制度の成績が悪いのは、点数制評価を採用しているので公開情報に欠落があっても認定されるためであった。点数性評価の独自制度を全国最初に採用した岩手県・盛岡市の場合も、同様の欠点が認められる。
 環境省の優良性評価制度と経済産業省の廃リガバナンスは、発足当初から両省にライバル意識があったためか、相乗りになることはなかった。しかし、もともと処理業者向けの制度と排出業者向けの制度であるから、競合する心配はなかった。むしろ、廃リガバナンスは排出事の廃棄物マネジメントを関係会社や取引先産廃処理業者に拡張するシステムであるから、優良性評価制度は、その情報源として位置づけることが可能だったのだが、廃リガバナンス検討会でそのような着想は提出されなかった。現在実施されている登録制度でも、優良性評価制度の情報を利用するという発想はない。
 iMethodによって優良性評価制度の公開情報を、排出業者に利用可能な情報として再提供すれば、両制度をスマートに結合し、情報の信頼性を高め、利用度の向上を図ることができる。



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