I-Method

9-2 廃リガバナンス

経済産業省の廃棄物・リサイクルガバナンス

 廃棄物・リサイクルガバナンスは、WMS(ウェイスト・マネジメント・システム)の対象を、関連会社・協力会社、処理・リサイクル会社、地域社会へと拡張するため、経済産業省から提出された概念である。コーポーレートガバナンスを廃棄物管理に援用した造語だと言っていい。
 第一次検討会は「排出事業者のための廃棄物・リサイクルガバナンスガイドライン」を策定し、2004年に発表した。実際の発明者は検討会事務局となった三菱総合研究所であるが、同社は自ら事業化にかかわることを断念してしまった。そこで社団法人産業環境管理協会を事務局として、第二次検討会が招集されて普及制度を検討し、その結果を受けて、同協会が、構築支援・登録・評価サービスの提供を2007年からスタートさせた。
 これによって本格的な普及が図られるはずだったが、現在までのところ環境省の産業廃棄物処理業優良化推進事業に比べると、実績の上で水を開けられている。これはプライドの高い経済産業省としては、屈辱的なことだろう。ただし、廃リガバナンスは排出事業者を対象としており、処理業者を対象とする優良性評価制度と単純比較はできない。
 廃リガバナンスが普及しないのは、概念が抽象的であり具体的な応用性が乏しいこと、他の環境経営度評価との差別化が明確でないこと、排出業者支援制度を環境経営に生かすメリットが感じられないこと、ガバナンスを構築するために必要な情報がないことなどが挙げられると思う。また、大企業はそれぞれ独自のEMS(エコマネジメントシステム)を完成しており、いまさら別のシステムを採用するインセンティブが働かないことも大きかった。
 第一次・第二次検討会のいずれにも参加した私としては、廃リガバナンスを死語にせず、なんとか羽ばたたかせたいと常々思ってきた。
 iMethodの最終バージョンを、iM−G(ガバナンスバーション)と名づけたのは、そういう思いからである。





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