I-Method

4-7 遵法性公式

オーバーフロー受注率

 コンプライアンス公式は、I/O分析によって企業の経営実態の合法性を審査する公式である。

 公式2−1 オーバーフロー受注率 = 受注量 / 許可処理能力 × 100
 判定基準 イエロー(要指導)…159〜199 レッド(要処分)…200〜

 200パーセントを超えている場合、未処理廃棄物の再委託をしている疑いが強くなる。150%までは、許可処理能力の過小表示や操業時間の延長で説明できる。
 なお、焼却施設では、実際処理能力に比較して、許可処理能力が過小に表示されていることが多い。焼却炉は設計能力の限界まで使うと壊れやすいため、表示した焼却能力に2倍程度の余裕を持たせて製造しているメーカーが多いからである。焼却能力は炉の物理的な大きさと、送風量(酸素供給量)によって決まるので、大きな炉でもブロアーを小さくすれば(または出力にリミッターを設けておけば)、焼却量を抑えて炉を長持ちさせることができる。
 逆に、破砕施設では、実際処理能力に比較して、許可処理能力が過大に表示されていることが多い。破砕能力はカッターのせん断面積と投入速度で決まる。能力を重量ベースで表示する場合には、破砕物の体積に比重をかけて求める。破砕施設の設計能力は連続投入を仮定しているが、実際の投入は断続的になるため、設計能力の2分の1程度が実用的な能力の限界になることが多い。
 つまり、許可証に書かれた施設の処理能力というものは、科学的な計算根拠はあっても、実務的には目安のようなもので、せいぜい砂時計程度の正確さしかないと思ったほういい。

マニフェストなし持込受注率

 公式2−2 マニフェストなし持込受注率 = (受注量 − マニフェストあり受注量) / 受注量 × 100
 判定基準 イエロー…5〜19 レッド…20〜

 持込受注とは、排出事業者が自ら運搬して持ち込む廃棄物を受け入れることである。持込受注は収集運搬費がかからないので、割安な価格設定となる。しかし、混合廃棄物として持ち込まれることが多いため、許可品目外廃棄物、一般廃棄物、有害物質などが混入するリスクが高いこと、マニフェストや契約書が作成されないケースが多いこと、収集運搬能力の限界がないため、オーバーフロー受注につながりやすいことなどの問題がある。
 建設系廃棄物では、解体業者からの持込受注が大半を占める処分場がわりと多い。持込受注でも、契約書やマニフェストが作成されている場合は問題が少ない。これらの書類がないスポットの持込受注の場合、受注後に問題が発生しても原因者を究明したり返品したりできなくなる。
 判定基準では書類のない持込受注を問題とした。また、自社車両での受注はすべてマニフェストがあると仮定している。

最終処分率

 公式2−3 最終処分率 = 最終処分量 / 受注量 × 100
 判定基準 イエロー…40〜

 最終処分率が高いほうが問題がないように誤解されやすいが、そうではない。中間処理した廃棄物は減量化されるので、最終処分率は20パーセント以下が適正である。最終処分率が高い施設は、中間処理やリサイクル処理を適正に行っていない疑いがある。

再委託率

 公式2−4 再委託率 = 再委託量 / 受注量 × 100
 判定基準 イエロー…5〜9 レッド…10〜

 未処理廃棄物の再委託は、法的には1グラムあっても違反だから0%が望ましいのは当然だが、処理困難物が入荷してしまった場合のように、事情によっては容認できるケースもある。
 再委託の割合が高く、日常化している施設はハイリスク施設である。

マニフェストなし再委託率

 公式4−5 マニフェストなし再委託率 = マニフェストなし再委託量 / 受注量 × 100
 判定基準 レッド…0%以外

 マニフェストが作成されていない再委託は、不正ルートへの流出そのものであるから、絶対に0%でなければならない。たとえマニフェストがあっても、料金が低廉な場合(受注した料金の半額以下の再委託、つまり中抜き率50%以上)は、違法な流出とみなしてよい。

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