I-Method

4-8 トラップ公式

トラップ公式とは

 不正処理をしている業者は、さまざまな偽装工作を駆使して違法性を隠蔽しており、コンプライアンス公式だけでは不十分である。トラップ公式は、直接的に違法処理を証明するものではないが、さまざまな偽装工作を発見するための端緒となる推論公式である。
 たとえば、処理の実体のない架空のマニフェスト作成には、判子代と呼ばれる手数料が支払われる。運搬費別立て偽装などの偽装リサイクルも、会計書類に証拠が残る。売上の二重帳簿、架空の処分先による経費の水増しなどの脱税も、さまざまな指標の組み合わせで発見することができる。
 無許可ダンプへの再委託の比率が高くなれば、外注単価が低下する。仲介業者に違法なリベートを支払えば、契約単価と実際単価に差額が生じる。産廃処理の仲介料は1立方メートルあたり500円、中抜きは25%が標準になっている。これは他の業界の仲介料よりもかなり高い。
 関連会社や提携会社との偽装取引も、不自然な取引価格、資金や資産の融通、従業員の派遣や共働、過大な取引、定額の取引などの兆候から発見できる。
 トラップ公式は無限に発明できるが、ここではは、受委託量トラップと、受委託単価トラップを例示する。

受委託量トラップ

 公式3−1 実際の受託量>マニフェスト上の受託量 → マニフェストなしの受託
 公式3−2 実際の受託量<マニフェスト上の受託量 → 偽装マニフェスト
 公式3−3 実際の委託量>マニフェスト上の委託量 → マニフェストなしの委託
 公式3−4 実際の委託量<マニフェスト上の委託量 → 偽装マニフェスト
 公式3−5 実際の受託量>売上高から推定した受託量 → 所得隠し(脱税)
 公式3−6 実際の受託量<売上高から推定した受託量 → 偽装マニフェスト(空伝)
 公式3−7 実際の委託量>外注費から推定した委託量 → 無許可業者への安価な委託
 公式3−8 実際の委託量<外注費から推定した委託量 → 経費水増し(脱税)

受委託単価トラップ

 公式3−9 安価な売上高(判子代) → 偽装マニフェスト 
 公式3−10 安価な外注費 → 無許可業者への安価な委託
 公式3−11 安価な原材料費と過大な雑収益 → 偽装リサイクル受託(有価物購入偽装)
 公式3−12 安価な原材料費と過大な運搬費 → 偽装リサイクル受託(有価物購入偽装) 
 公式3−13 安価な売価と過大な運搬費 → 偽装リサイクル委託(有価物販売偽装)
 公式3−14 安価な売価と過大な工事費 → 偽装リサイクル委託(有価物販売偽装)
 公式3−15 関連会社への安価な売価 → 偽装リサイクル委託(有価物販売偽装)
 公式3−16 関連会社への過大な手数料 → 迂回不法投棄

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